華道家 新保逍滄

2015年2月12日

一日一華:笑うか怒るか(3)


私たちの生け花コンクール、生け花ギャラリー賞を巡る国際紛争(?)についてさらに続けます。

パスタからメールで攻撃を受けたアナの教師、
ブランが私にメールを送ってくれました。

自分たちの事情を詳しく説明してくれています。
正規に生け花を学ぶ機会はないが、日本からの訪問者があるたび
その機会を捉えて学んできたと。
なんともけなげではないですか。
コンクールに参加していいだろうか?というのが趣旨。

当たり前だよ、と返事をすると、とても感謝して下さり、最後に、
「この件についてきわめて不寛容な方がある。
くれぐれも最大の注意を払って対応して下さい。」

私達の決定は、こうだ、と即公表してもいいのですが、
パスタにも礼をつくしましょう。
ブランからのアドバイスもあることですし。
「この件に関し、貴方が最も気になる点は何なのか?」

すぐに返事が来ました。多少、ブロークンな英語で、意味不明の部分があるのですが、大意は次のようなこと。

「非正規の生け花学習者は、正規の学習者の資格を貶める。コンクールの価値を引き下げることになるし、正規に芸術を学ぶ者のやる気をなくさせる。言っておくが、我が国の者は今後一切、このコンクールには参加させない」

ここでも私達は大笑い。

正規に生け花を学んでいるということが特殊なものだということです。
特権意識に近い。
非正規にしか学べない者などと、同席出来るか、と。

コンクールで自分の生徒が、他の流派の生徒に負けたとか、非正規で生け花を勉強している生徒に負けたとかいうことになると、生徒から批判されるのではないかと不安になるのかもしれません。

たかが小さなコンクール、勝ってもよし、負けてもよし、楽しもうじゃないか、という具合になれたら素晴らしいと思いますが。

ともかく、彼は大手華道流派、ユーロッパの大国の支部長レベルの方です。
無視するのもひとつ。放っておいたらいい。

しかし、もう少し建設的な解決方法はないものでしょうか?
相互の立場を理解しあい、相互に協力出来るような関係が作れないか。

パスタの行為の問題点はいくつかあります。
まず、他国の少数の生け花学習者に対する嫌がらせ。
私達に対する営業妨害。
このプロジェクトは非営利活動ですから
被害を計上することはできませんが。
自らのグループの生け花の生徒が自由に国際コンクールに参加する権利を奪っている。
さらに、日本文化に対する無知。

日本の華道教師が他の生け花学習者を理不尽な理由で
攻撃する、侮辱するなどということがあり得るでしょうか?

例えば、日本の離島で先生の指導が得られず、自分たちだけで生け花を勉強しているグループの方がオンライン上に作品を掲載したとします。
その方々に対し、「生け花やっているなんて言うんじゃねえよ。そんな資格ないぞ」なんて暴言を吐く先生、あり得ないでしょう?

華道とは花を生けるだけでなく、人格の向上をも目指すもの。
人間修養という考えがある程度、浸透している日本ですから、
そんな愚劣で、思いやりのかけらもない態度が明らかになれば、その先生につく生徒などいなくなるのではないでしょうか?

さらに、この暴言教師が、ある流派の、例えば大阪支部長であったとしたら?
その先生本人というより、その流派はどうなっているのか?
ということになるでしょう。

パスタが一個人ではなく、日本の大流派の某国支部長という責任ある立場にあるということが今回の問題を見過ごすことのできないものにしているのです。
自己保身ゆえの、不寛容な一個人の愚行というレベルでは済ませられない。彼の発言は彼の流派を代表するものだという見方だってできるでしょう。
大流派であるだけに、パワハラという要素も出てきます。

彼の言動の責任は、彼の無知を放置して、権力を与えている流派にもあるのではないか?技術指導だけで、精神的な側面の指導を怠ってきたのではないか?
そういう人が海外で日本文化を体現しているだの、マスターだのと言って
会員を統制している姿は、日本文化に対する侮辱です。
日本人として恥ずかしい。

こうした問題に誠意を持って対処する意志がないなら、
海外進出する華道流派の狙いとは、日本文化を広めるなどということは建前ばかり、
本音は金儲けだけなのではないでしょうか。

実際、パスタのような人間は権威を欲しがり、精力的に活動します。流派はそれにつけ込むことができ、便利なのです。「それ、間違っていませんか?」などとすぐ声を上げる人間は扱いにくくてしょうがない(笑)。

さて、私達の対応策です。
次回に続きます。

Shoso Shimbo

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