華道家 新保逍滄

2015年2月23日

一日一華:小説・教室のうわさ話(2)


教室の残り物でひとつ活けてみました。
ダリアは我が家で育てたもの。
簡単に育つ上、色がきれいです。

さて、私と私の生花の生徒とのうわさばなしなどを
紹介してみようかということです。

しかし、個人的なことに触れて、面倒なことになっても困ります。
「なによ、ここだけの話だったのに!」
なんていうことで。

ですからこのシリーズ、小説にします。
すべて架空。
海外の小さな街の小さなエピソードの紹介、
でも、そこにちょっとした異文化が感じられたら面白いかな。

しかも、定期連載ではありません。
気まぐれ連載です。

私は午前、午後、夕方と3クラス教えています。
一番人気で、一番にぎやかなのが午後のクラスです。
奥様方に人気の時間帯。

ある程度、余裕のある方々が多いようです。
我が家の前にヨーロッパの大型車がずらりと並びます。
子育ても終わって、一安心。
生花にでも挑戦してみようかしら、というところでしょうか。

ところが、Nさんはちょっと違います。
話す時はいつも微笑みを浮かべ、とても品のある方。
そこまでは他の方と、まあ同様。

「このクラスは私にとって唯一の心休まる時間なんですよ」
「それはありがたいお言葉です。
でも、なにか心配なことでも?」
「実は」

お嬢さんが結婚し、メルボルンに住んでいるのですが、
突然、難病に。
ご主人はすっと逃走。
そういう男の話は残念ながらよく聞きます。

仕方なく自分たち夫婦が他州から引っ越して
お嬢さんの世話をしているのだとか。
24時間ケアが必要とのこと。
余裕のリタイア生活を送るはずだったのが暗転。

他州から引っ越してきたため友達もいない。
クラスでは、他の方とも親しくされているようです。
「あとでお茶でも」なんていうこともあるようです。
小さな憩いの時間にしていただければ嬉しい限りです。

Shoso Shimbo

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