華道家 新保逍滄

2019年3月28日

メルボルン・フラワー・ショー2019雑感


2019年のメルボルン・フラワー・ショーに出展しました。
Melbourne International Flower and Garden Show
3、4年ぶりの出展です。

南半球最大のフラワーショーとなりますから、メルボルン在住の業界人としては無視できないイベントなのです。

しかし、思うところはいろいろあります。

まず、私が過去数年出展しなかった理由は、

1、PR効果が案外少ない。入場者10万人とありますが、出展、あるいは受賞したとしてもその効果は少ないのです。会場で私の作品を見て、教室に入ってくれたなどという方は過去10年、皆無です。これは花部門についてのことであり、庭部門では事情が違うのかもしれません。

2、他のイベントと重なる。秋のメルボルンは多くの行事が開催される時期です。過去数年、同時期に開催される重要な彫刻展や学会に招待され続けたのです。

3、 賞、審査に対する疑問。フラワーショーに参加すること、すなわち賞レースに参加することになります。避けられないのです。大企業が大きな予算で制作する作品の隣では、なかなか自作は映えません。賞など気にすることなく、自分が満足できる作品を作ればいい、というスタンスで続けてきました。

しかし、花を大量にゴテゴテ使用しただけの受賞作を見ては、ここは自分が出展する場ではないのではないか、という思いを強くしてきました。自分のアプローチは、一般に評価される装飾としての花ではないのでは?と。

不思議なもので、芸術性のない稚拙な作品(失礼。私にそう見えるというだけのことです)であっても受賞作となると、よく見えてくるものなのです。逆もしかり。

彫刻の方で評価をいただける機会が続き、自分が表現したいものが理解していただけるのは彫刻だ、と思うようになっていました。

4、すでにこのショーで最高の金賞を受賞済み。2回3回とってもあまり意味はないでしょう。

5、制作の費用、時間はなかなか負担が大きい。

大体こんなところです。

それにもかかわらず、今回出展したのは、作品集出版のための作品写真が必要という事情が最大のものでした。

さらに、8月末に予定しているメルボルン・生け花・フェスティバルのPRに効果があるかもしれないということも大きいものでした。

おそらく分かってはもらえないだろうから、賞は期待しない、自分に挑戦するための作品、自分にとって意味のある作品を作る。妥協しないこと、という心がけで臨みました。審査員や多くの観客の気に入るように不必要に飾り立てたりするのは馬鹿げたことに思えます。

結果、予想通り、自作は他の多くの作品とは別の領域に属しているなあ、と感じました。
もちろん、他の作品を批判するつもりなどありません。実際、すばらしい作品が多数あったのです。例年以上ではないでしょうか。ただ、私とはアプローチが違います。

そもそも、自作ときたら、花を一輪も使っていない!
「作品の7割以上に花を使わなければいけないんでしょう?ガイドライン無視しているんでしょう?」と私の生徒が笑っていましたが。

それでも、私の生徒の何人かがとても感心してくれましたから、それで良しとし、まあ、生徒のため、そして自分のために出展したんだよと納得。

さらに、実は、私自身、今回は不思議な満足感を経験しました。

ここまで手をかけると、作品が生命を獲得するのだ、という感じ、でしょうか。
その「ここまで」という、到達点がはっきり実感できたのです。
ただの自己満足かもしれませんが。
ともかく、とても充実した経験でした。
こうした、自分に挑戦する機会は必要でしょう。

2019年3月20日

Wa パフォーマンス概要決定


Wa: Melbourne Ikebana Festival presents Ikebana artist Shoso Shimbo in concert with the Grigoryan Brothers. Shoso will create a large scale floral installation to the music of the world renowned guitar duo in an intimate setting that brings the audience right up close to this captivating performance.

Tickets: https://www.melbournerecital.com.au/

概要が決定しました。詳細は2、3週間後に発表できる予定です。よろしくお願いします。

お知らせ:生け花パフォーマンス予約受付中
Wa: Ikebana Performance with the Grigoryan Brothers
31 August 2019
Melbourne Recital Centre
Booking: http://bit.ly/IkebanaGrigoryan

http://www.shoso.com.au
https://www.facebook.com/ikebanaaustralia

2019年3月14日

生け花パフォーマンスとは何か?(5)  






生け花パフォーマンスについての覚書、5回目。ひとまず最後の覚書です。1回から4回までは以下です。
https://ikebana-shoso.blogspot.com/2019/03/blog-post_11.html
https://ikebana-shoso.blogspot.com/2019/03/blog-post_12.html
https://ikebana-shoso.blogspot.com/2019/03/blog-post_13.html
https://ikebana-shoso.blogspot.com/2019/03/blog-post_24.html

私の次のパフォーマンスは、和:メルボルン生け花フェスティバルのイベントの一つとして行う予定です。

タイトル:Wa - Fluid Harmony
日時:2019年8月31日土曜日7〜8時
場所:メルボルン・リサイタル・センター
チケット: https://www.melbournerecital.com.au/

このプロジェクトの特徴を幾つか挙げてみましょう。

1:共演者が国際レベルの方々。Grigoryan Brothers先のポストでも簡単に紹介しました。世界最高峰のバッハの演奏を背景に、花とたわむれることができるなんて、至高の体験となりそうです。

まず、最初の1曲は、Grigoryan Brothersだけで演奏してもらいます。私のリクエストはバッハ、曲はお任せ。2曲めから私が登場し、生け始めます。曲はかなりテンポの速いものが続きます。私の制作時間もたっぷりあります。

私の動きそのものは、ダンスではないですから、機能的なものです。動きで楽しませようなどとはしないつもりです。無駄なく、キビキビと生けていけばいいのです。私の動きなど二義的なもの。重要なのは目の前でできていく花です。

Grigoryan Brothersのギターを弾く動きが二義的なものであるのと同じことです。聞こえてくる音楽が重要なのです。

コラボの最後もバッハをリクエストしました。最後のバッハが演奏される頃には、私の制作もほとんど終了しているはずです。1箇所、2箇所手入れをして曲とともに終了。しっかり花を楽しんでいただこうと思います。

2:場所がインティメート。会場はコンサート会場としてはオーストラリアでも最高レベル。そこの小さなサロンを借ります。140人しか入りません。客席とステージがすぐ近くなのです。目のすぐ前で花を見、ギターを聴いていただこうというわけです。花と音楽の贅沢なライブ・パフォーマンスとの一体感を楽しんでいただけたらと思います。

この会場、私は1回使ったことがあるだけですが、すぐに気に入りました。雰囲気が素晴らしい。音響が世界最高レベル、搬入もしやすく、スタッフが気持ちよく働いています。

3:チケットの値段は微妙:彼らだけでも十分チケットは売れるのです。彼らがメルボルン交響楽団に招待されて演奏する際にはチケットが$100以上です。新保に招待されたら、少しは安くしないといけないでしょうが、かなり高価でも完売が目指せるのではないかと、ビジネスマンの私は思うわけです。素人判断は危険で、油断はできませんが。間も無く宣伝開始します。ご都合がつきましたら是非いらっしゃってください。

さらにビジネス面での話になりますが、このパフォーマンス販売のターゲットが、極めて限られた層になります。実は、彼らこそ、生け花に関心を持っていただきたい層、しかし、なかなか訴求手段のない層なのです。エイジ紙への広告、リサイタルセンターの常連客への広告などが会場費用(安くはない)に含まれていますので、質のいいコンサート、パフォーマンスでさえあれば、成果は得られることでしょう。和:メルボルン生け花フェスティバルの認知度を上げるためにも最適なプロジェクトになりそうです。「生け花はこんなことができるのか」などという感想を持つ方が出てきてくれたらありがたいですね。

つまり、演奏者、会場の力を借りて生け花を引き上げてもらうのです。これが、無名の奏者、さえない会場だったらどうでしょう?生け花が奏者を引き上げることになります。生け花の力(人を集める力など)が認められている日本のような状況ならば、それは可能でしょう。しかし、ここメルボルンではそれはかなり苦しい選択です。こうした現実的な配慮も踏まえての戦略的な企画です。とにかく楽しんでいただけるよう、自分も楽しんでいこうと思います。

そうそう、次回からはこの企画にスポンサーがついてくれたらありがたいですね。もっと安価にこの文化体験を提供できるでしょうし、スポンサーにとっても広告効果はあると思うのですが。次回は、国際的なジャズピアニストとのコラボが実現するかもしれません。

http://www.shoso.com.au
https://www.facebook.com/ikebanaaustralia

お知らせ:生け花パフォーマンス予約受付中
Wa: Ikebana Performance with the Grigoryan Brothers
31 August 2019
Melbourne Recital Centre
Booking: http://bit.ly/IkebanaGrigoryan

2019年3月13日

生け花パフォーマンスとは何か?(4)


生け花パフォーマンスについての覚書、第4回目。1から3回目は以下です。

生け花パフォーマンスで見せる焦点は、プロダクト(作品)ではなく、プロセス(制作過程)。その方法については、生け手の所作の洗練具合に応じて、3種類くらいに分けていいのではないかと思います。もちろん、私の見知っているパフォーマンスには限りがあり、もしかするともっと別のやり方があるのかもしれませんが。

まず第1のタイプは、生け花儀礼のパフォーマンス。おそらく見たことがないという方も多いと思います。私はたまたま池坊専永家元が、両脇にアシスタント役を一人づつ配し、実演してくださったものをメルボルンで拝見しました。花を準備する、切りそろえる、最初のひと枝をいける、等々という手順を一つ一つ様式化していくものであるようです。このプロセス、所作をさらに洗練し、様式化していったなら、茶道に通じるものがあるように思います。生け手の所作を洗練させる一つの極限として位置付けておかなければいけないでしょう。

第2のタイプは、生け手の所作を変化していく作品とともに見せるもの。大部分の生け花パフォーマンスはこのタイプに入ります。面白いのは、生け手が一心不乱に生けるその姿。無駄のない所作、隙のない動き。前回も書いた通り、私が目指すパフォーマンスも基本的にはこの路線です。

具体例は幾つかあります。

まずは、人気の「花いけバトル」。制限時間5分という厳しさ。さらに競争原理を持ち込むのですからエンタメとして成功するのは当然です。私もメルボルンで花いけバトルを開催していただけないかと日向先生にご相談しています。いつか実現するのではないかと思います。ただ、ひとつの問題は、当地の観客がどう受け入れてくれるか、です。日本のように生け花が普及しているわけではないのです。下準備が必要かもしれません。

また、昨年(2018年)、假屋崎省吾さんがメルボルンで生け花ショーをなさいました。15分で5作を生けるというものでした。1作3分です。全て直留め、当然、同じようなデザインになってしまいます。假屋崎さん本来の、緻密でありながら、軽妙な作風など望めないでしょう。それでも彼の所作には人を惹きつけるものがありました。

さらに、1990年頃でしょうか、勅使河原宏氏がメルボルンで大作を公開制作されたことがあります。小舟を花器に見立て、ステージ上に花の森が出現したものです。私にとっては生け花パフォーマンスのひとつの典型となっています。多くのアシスタント(片山健先生もその一人だったとのこと)が、機敏に、無駄なく動いていく、見事なものでした。音楽が流れ、完成後、ライティング効果で作品が一層映えました。

さて、第3のタイプですが、これは最近、幾つかソーシャルメディアなどで拝見したものが主です。かなり勢いのある音楽、ダンサー、照明などを使い、花を素早く生けていきます。グループ制作の場合も個人制作の場合もありますが、共通しているのは、残念ながら生け手の動きが美しくないということです。枝を大げさに振り回してみたり、わざとらしい、無駄な動きが目立ちます。これは、前回、私の失敗として書いたことに通じる点です。
ダンスと生ける行為を組み合わせたいという気持ちはよくわかります。ダンスをきちんと勉強した人ならば、それは可能かもしれません。しかし、素人には無理でしょう。
しかし、もしかすると、このようなパフォーマンスのあり方は進化の途上にあるのかもしれません。これからもっと洗練され、面白いものになっていくのかもしれません。私ごときの批判は無視して頑張ってほしいと思います。

以上のようなことをあれこれ考えて、では、私はどんなことがしたいのか?次回はひとまずの結論です。


生け花パフォーマンスとは何か?(3)


生け花パフォーマンスについての覚書の3回目です。
1、2回目は以下です。
https://ikebana-shoso.blogspot.com/2019/03/blog-post_11.html
https://ikebana-shoso.blogspot.com/2019/03/blog-post_12.html

私にとって重要な生け花パフォーマンスの経験は、2013年ごろMelbourne Now の一環としてNGV(ビクトリア国立美術館)で行った、ユミ・ウミウマレさんとのコラボです。

私見では、あまりうまくいかなかったパフォーマンスでした。
それは私のせいです。しかし、勉強にはなりました。

ユミさんは、舞踏家で、3.11の津波被害後のパフォーマンスで、自分の子供が津波に飲み込まれるのをただ見つめるだけの母親、を演じ切ってしまうとんでもないアーティストです。観客は皆、切なさに息を飲んで見入ったものです。

NGVでのパフォーマンスでの反省点ですが、まず、自分のコンセプトが観客に伝わる形で表現できなかったこと。

私たちの共通のコンセプトは、再生というパッセージ(過程)でした。生け花は、切り花の段階で命を失っている花を、もう一度蘇らせるもの。花を生かす、生き返らせるから生け花なのだという、生け花の本質を表現したいという大それたものでした。

ユミさんは観客に話しかけたりしつつ、このコンセプトを伝えようとしてくれました。よくやっていましたが、私は基本的に演じるなどということは不可能なのです。

これは、第2の反省点、発見でもありますが、私にできるのは生けるという所作だけなのです。いけるという所作が、観客に面白いものでしょうか?面白くすることはできるでしょうか?

その数年後、ユミさんと再びコラボの機会がありました。ユミさんにお願いしたのは、自分は一心不乱に生ける、それしかできないから。あとはその周りで貴方で思い通りに踊り、ストーリーを作ってくれ、ということ。

無責任ですが、私が下手に動くと全く美しくないのです。プロの動きと素人の余剰な動きでは比べようもありません。プロの舞踏家に対抗しうるものが自分にあるとすれば、ひたすら生ける姿だけだろうということです。そして、変化し、出来上がっていく花。花という主人公に対する脇役としての生け手、これをセットにすれば、なんとか見ていただく価値があるのではないかと思っています。

この生け手の所作についての私の認識が、他の生け花パフォーマンスを区分する際の基本になっています。どういうことか?次回に続きます。

補足ですが、近年作った彫刻「鯨の胃袋」が、当地における現代彫刻家の登竜門的なABL賞を受賞しました。プラスチック公害にコメントしたものですが、ユミさんはこの作品と踊りたいなどと言ってくれています。いろいろな条件が出揃えば、次のコラボにつながるかもしれません。


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2019年3月12日

生け花パフォーマンスとは何か?(2)


生け花パフォーマンスについての覚書の2回目です。1回目は以下です。
https://ikebana-shoso.blogspot.com/2019/03/blog-post_11.html

私の限られた経験、偏った見聞に基づく「ひとつの見解」と、気楽に付き合ってください。

厳密に「生け花パフォーマンス」と呼べるものは、現在、ほとんど存在しないだろうと思います。生け花パフォーマンスという名前で行われている多くのものは「生け花ショー」というべきです。

しかし、パフォーマンスという言葉は多義的に使われていますから、気にすることもないのかもしれません。私自身、厳密に使い分けていませんし。

ただ、指摘しておきたいことは、現代美術の文脈でのパフォーマンスとは、概念芸術の延長線上に試みられたひとつの表現活動であるということ。その定義は幾つもありますが、60年代くらいに多くの芸術家(現代美術の大御所、草間彌生さんを含む)が時代の新しい表現として、受け入れられるかどうかも定かでない状況で、時に命がけで、羞恥心を脱ぎ捨て(と私には思えます。本人の意図は不明ですが。)取り組んだ芸術活動です。

伝統の上にあぐらをかいている生け花の先生が、デモの延長としてショーをやり、それをパフォーマンスと呼ぶのも結構でしょうが、60年代から闘ってきた現代美術家からは、「冗談はやめてくれ」と叱られる可能性はあります。 

さて、その生け花パフォーマンス(ショー)について、ですが、私の経験から気づいたこと、特にうまくいくやり方、失敗するやり方などに焦点を当てて、話を続けていきます。


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2019年3月11日

生け花パフォーマンスとは何か?(1)


2019年8月31日、9月1日、和・メルボルン生け花フェスティバルを開催します。
日本からも出展者を募集したいとあれこれ取り組んでいます。

できれば著名な華道家を日本から招聘し、パフォーマンスなどやっていただきたいと心当たりの方々にお声がけし、スポンサー探しも試みましたが、なかなか思うようにいきません。時間ばかりが過ぎ去っていきます。

腹をくくりました。自分がやればいいのです。
身の程知らず、と言われそうですが、大いに結構。
金銭的なリスクも自分が負えばいいのです。
たとえ失敗しても、まあ、車の買い替えが2、3年先になる程度でしょう。

音楽は世界最高峰のギター・デュオと契約済み。

やるのはいいのですが、では、生け花パフォーマンスとは何か?
私が目指すものはどんなものか、
思い当たるところを覚書として書いておこうと思います。

実は、現在、「生け花パフォーマンス」として行われている幾つかのものには
私は必ずしも共感できないでいるのです。


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Booking: http://bit.ly/IkebanaGrigoryan

2019年3月7日

2019年3月4日

Yes Man の終焉


私のような境遇は、一言で言えば自由業と言えるのでしょうか、
かなり自由に自分の仕事の方向、量を変えることができます。

自由業とはフリーランスのことでしょうね?
フリーランス・研究者といったあたりが私の立場です。
大学の公開講座を一つ気ままに担当している程度ですから。

過去、2、3年、自分にとって大切だった教訓は、「Yes Manであれ」ということ。
どんな要望にもイエスとお応えする。
その効果は、なかなか大したものでした。 
1年に3回も学会で発表し、ユネスコの学術誌への論文出版、スプリンガーの書籍の1章を担当したりと、これでは大学の正規の教師並ではないでしょうか。いや、失礼、大学の皆さんはもっと頑張っていらっしゃいますね。

しかし、今回ばかりはイエスマンをやめました。

最近、音楽家と生け花パフォーマンスをやったのですが、前売りは完売、即、再演のリクエストをいただきました。しかも、次回の私への報酬は3倍とのこと。大成功ですね。

しかし、私は依頼を断りました。

生け花を海外で紹介する上で、パフォーマンスというのは重要なものです。
「生け花にはこんなこともできるのだよ」と伝えていかなければいけません。
それはわかるのです。
なかなか率先してやる人がいないようですので、非力をかえりみず取り組んでいます。

しかし、私が求めているのは、もっと違うものです。
それを示すべきでしょう。
単に断るだけでは、ろくなことは言われないでしょう。傲慢だとか、わがままだとか、それはそれでいいのですが。

では、何がやりたいのか?

まず、手を組む音楽家は国際レベルの方であること。
会場はメルボルンの最高の会場であること。
チケットはマーケットで最高価格レベルであること。
芸術性のギリギリのところを追求するコラボであること。
無茶苦茶な要求ですが、まあ、やってみよう、と。
背伸びもいいではないですか。もう若くもないし。

私が選んだ演奏者は、The Grigoryan Brothers

国際的に活躍中のオーストラリアのクラシックギター・デュオの最高峰。ニューヨーク・タイムズからも並外れた独創性と抜群の評価を得ています。ARIAを4回受賞、クラシック音楽チャートのトップを3ヶ月間独走と。これはただものではないでしょう。

https://youtu.be/pptFnFJJz0g

彼らの音楽に言葉はいらない、心の深いところへ直に響いてきます。
うっかりしていると、涙まで浮かんできます。
生け花も、ほんとうにいいものは、同じような力を持っています。

その彼らとの共演を、和:メルボルン・生け花フェスティバルのイベントの一つとしてやることにしました。

日時:2019年8月31日
場所:メルボルン・リサイタル・センター

詳細は後ほど。どんどん宣伝していきます。しつこい程に!
チケットは高価で、簡単に売れないでしょうから。

Shoso Shimbo

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