華道家 新保逍滄

2015年2月22日

一日一華:教室のうわさ話(1) 


メルボルンの花菱レストランに活けた作品。
毎回、花材を用意してもらい、とても便利なうえに、
なにがでてくるか分からないという面白さがあります。

さて、オーストラリアで生花を教えていますと
ちょっと日本では経験出来ないだろうなあということがよくあります。

まずは、生徒が教室でどんな話をしているか、
なんていうところからお話ししてみましょうか。

生徒は明るい方が多く、オープンに接してくれますし、
教室もいい雰囲気でやっていられます。

今回はマディーのことを少し。
彼女については話したいことがたくさんあるのですが。
普通は仮名を使うつもりですが、彼女は実名で大丈夫でしょう。

まだ大学を出たばかり。
母親と2人で教室に通ってきます。

昨年度、頑張って週に3回も教室に通っていました。
そして、念願の生花ギャラリー賞受賞

そのころ趣味で、バンドで歌っていたのです。
しかし、どうもうまくいかないと話してくれました。
「 なぜ?」
「私の声がきれいすぎるって言われて」
「聖歌隊みたいな感じ?」
「そうね」
「それじゃあ、バンドに向かないのかな」

それからソロで歌いだすと、少しずつ人気が出てきて
生花クラスもなかなか出席出来ないほど。

そして、ついに
メルボルンの新人歌手発掘コンクールで優勝。
メルボルンの音楽はレベルが高いと思います。
予選通過者数百人の中からの優勝です。
ローカル新聞全ページに写真が載っていました。

「1年に2つも賞をとったね」
「今年は私、超ラッキー」

その頃、最新のBMWのスポーツカーで教室にやってくるようになりました。
「なんじゃ、この見苦しいの?」
「会社が貸してくれてるの。少しはお金払っているんだけど、ほとんどただ」
仕事も順調のようです。

そうなるとますます生花クラスに来られなくなります。
それでも頻繁に「ごめん、また休みます。でも、またすぐ教室に戻ります」というような
メールが来ていました。

そして、1週間ほど前、「CDデビューです。ローンチには是非きて下さい」というメール。
それはちょっとした成功ではないか。

カフェバーに付随した小さな会場でした。
彼女が歌いだすや、私は驚いて家内を振り返りました。
「いいじゃないか。すごい声だ」
さらに、驚いたのは、客の反応。
彼女の歌に皆、しーんと聞き入っています。
そして、曲が終わるごとに大喝采。
日本ではよくある光景かもしれませんが、
オーストラリアのカフェバーでは
めったにないことです。

以下のサイトで彼女の歌声をお楽しみいただけます。
陽をあびたせせらぎがさらさら流れて行くような
何度でも聞きたくなるような歌声でしょう。

http://bit.ly/1CVpnmM
https://soundcloud.com/madeleine-duke

酔っぱらった蜂の歌。
俳句にヒントを得たというのですが、
私にはどの俳句か分かりませんでした。
芭蕉だというのですが。
一茶ならそんな作品があったかもしれないですが。

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