華道家 新保逍滄

2019年6月27日

一日一華:当たり前


最近のある出来事。
自分では当たり前と思っていたことが、
実は、他の人からすると全く思いもつかない考え方だった、
ということだったのかな、と反省しているところです。

私は数十年生け花をやっています。
生け花の課題、問題点、可能性、そうしたことを考えるのは、
私にとっては当たり前のことです。

特に、生け花は全体としては衰退していると思います。
そこで、何か対応を考えようとするのは、私にとっては当たり前のこと。

どうしたらより多くのいけ花学習者を獲得できるのか?
これから生け花はどういう方向を目指すべきなのか?
ポストモダンの文化的状況に生け花をどう対応させるか?

こういう問題意識を持っている方は多いように思います。
私はいろいろな生け花関係者とお話しする機会に恵まれてきましたが、
それらは共通の問題意識でした。

もちろん、自分のために生け花をやるのだという方もあるのでしょう。
しかし、私は本当に「自分のためだけに生け花がやれる」ということが
よく理解できません。

ある生徒とじっくり話す機会があり、
この生徒からは私のことが全くわかってもらっていない、と気付いたのです。

私の生け花指導のミッション、目的というものを
きちんと説明しておかなければ、と思いました。

別の生徒から自分のミッションをきちんと発表することは
大事ですよ、とアドバイスされました。
それが嫌ならクラスに来ないでください、そう言ったらいいんです、と。
そこまで言う必要はないでしょうが。

ただ、私の意図が共有されていないと、この生徒はなぜこちらへ動かないのだろう?
というような少々困った経験をすることになるのだ、と
今更ながら、気付いた次第。


2019年6月22日

メルボルン生け花フェスティバル Update 4


2019年6月末:出展者申し込み締め切り
7月1日:デモ、アーティスト・トーク予約開始
8月31日&9月1日:和・メルボルン生け花フェスティバル開催
詳細は次まで。http://waikebana.blogspot.com

先日、クラスで生徒に協力をお願いしました。
これだけの国際的な生け花文化祭に一人$40で出展できるんだよ!と。
$40と言ったら、4000円弱でしょうか。
パスタ一皿くらいの値段でしょう。
日本だったら10倍はするよ。
これはすごいことなんだけど、実は私たちの会計は火の車なんだ、と。
保険、会場費用、デモンストレーターへの謝礼、それに海外からの出展者にお礼もしたいのになあ、と。
そこで、お願いがあります。
寄付じゃないよ。ワークショップをPRしてほしい。
友達、知り合いに参加を呼びかけてほしい。
実はワークショップからの収益はとても助かるんだよ、と。
皆、真剣に私の話に耳を傾けてくれます。
帰り際に皆チラシを手にして帰ってくれました。
たぶん大丈夫かなと思ったものです。

すると、次の週には、
外国からの出展者のためのお土産は私の会社が提供しますから、という方、
今度著名な億万長者に会うので、スポンサーをお願いしてみますね、
さらに、匿名でお願いね、と$1000(10万円くらいでしょうか)寄付してくれる生徒が出てきました。
なんとも心強い生徒達です。
この団結力があれば、きっとこのイベントはうまくいくだろうな、と思います。
このイベントをいいものにしたいという生徒達の気持ちが
出展者、来訪者の方々に伝わるならば、きっとすばらしいものになるでしょう。

2019年6月13日

メルボルン生け花フェスティバル Update 3




メルボルン生け花フェスティバルとか、
メルボルン生け花月間、というような企画は必要かなと、長い間、思っていました。

メルボルンでは、生け花はまだマイナーな存在です。
「生け花って何?」という方も多い。
あと10倍くらいは生け花学習者が増えて当然と思います。
もっとピーアールしなければいけない。
その目的のためには、メルボルン生け花フェスティバルというのは
効果があるのではないか、と。

いろいろな方に協力をお願いしたのですが、なかなか成果が上がりません。
私の力不足、さらに、先立つ資本がない。

ともかく、「もうグループ展覧会なんて呼ばせない、生け花フェスティバルだ!」と宣言してみました。
私の生徒には笑われたものです。
「フェスティバルと言ったら、普通は・・・」
確かに。

実は、はじめはスポンサーを探そう、日本から著名な方を呼んでやろう、
などという方向で動いていたのです。力のないものがいきなりホームランを狙うようなものでしょうか。

それを諦めました。挫折が転換点になりました。

お金をあまりかけることなく、あれこれ工夫できないか。
他に頼るのではなく、自力で何ができるか考えてみようと。
すると、そこそこフェスティバルらしくなってきました。

まずは、会場を従来の3倍くらいの規模に拡大(300人収容。会場費用はあまり変わらない)
生け花の様々な側面を見せる (デモ、トーク、ワークショップ、さらにパフォーマンス:いずれも私たちが従来やってきた活動をほんの少し拡大するだけ)
外部からも出展者を迎える(出展者が少なくてはフェスティバルとは言い難いでしょう。私たちは小さなグループかもしれませんが、世界中から出展者を招けばいいのです!
幸い日本他諸外国からも出展者希望者がありました(まだ募集中です)。

これらのプログラムの中でパフォーマンスだけは、少し特異なもの。
私が選んだのは国際的なミュージシャン。
「メルボルン生け花フェスティバル」を一般の方々に知っていただくには
これ以上の方々は滅多にないでしょう。

ただ、催行するにはお金の額が他のプログラムと桁違いです。
しかし、私の生徒やサポーターの集客力を考えると、かなりチケットが売れるのではないか、利益は出ないとしても、最悪の場合でも私の赤字はさほど大きなものにはならないだろうと。将来への広告費用として考えたら悪くはないでしょう。

このパフォーマンスについては書きたいことがあれこれありますので、また別の機会に。
https://ikebana-shoso.blogspot.com/2019/04/blog-post.html
https://ikebana-shoso.blogspot.com/2019/03/blog-post_14.html

ともかく、こうして「メルボルン生け花フェスティバル」第1回目は誕生に向けて動き出しています。成功か否かの鍵は、おそらく私の生徒たち、協賛メンバーがどこまで、熱い思いを持ち続けられるか、私がそこを大切にできるか、かなと思います。

そして、今もっとも気がかりなのは、実は、お客様の数が多すぎたらどうしようか、ということ。これについてはまた別の機会に。

メルボルンの花展に出展しませんか?
日本からのご参加をお待ちしています。
https://waikebana.blogspot.com/p/blog-page.html




2019年6月9日

メルボルン生け花フェスティバル Update 2



メルボルン生け花フェスティバルのおおよそのところが決まりました。
スタッフは皆準備に取り掛かっています。
しかし、まだ、どうなるのかわからないところがあります。
3ヶ月の準備期間に思いがけない、面白いことが起こるのではないか、
そんな予感があります。

美術修士号くらい持っているキューレーターを入れてみたい、
写真家の卵に写真を撮ってもらったら、出展者は喜ぶだろうなあ、
花の名前の付いた製品を作っている著名香水店に出店してもらえないか、
オープニングには当地のそれなりの方をお呼びできないか、
生け花をもっと面白い形で紹介するワークショップ、アートパフォーマンスを
手配できないか、
オープニングに著名な和太鼓奏者が「とび入りしましょうか」などと言ってくれている、
などなど。

今までの生け花展の多くは、トップダウンだったろうと思います。
上の方が様々な決定をし、メンバーがそれに従う、という。
私が私の生徒やスタッフに言っているのは、「メルボルン生け花フェスティバルはフレームワークなんだ。その中に入りそうなものがあったら、それを盛り上げてくれそうなことがあったらなんでも提案し、自分で企画しなさい」ということ。
さらに、「自分は実行委員長でありながら、二日間とも会場に顔を出せないんだよ」と。
随分ひどいものです。

生け花にはいろいろな面があるのです。展覧会だけで終わる必要はない。
もちろん面倒は増えます。

例えば、私のスタッフに小さなスケールで子供向けのワークショップをやったことがある生徒がいます。彼女に今回はIkebana For Kids の企画、運営を任せました。
内容、料金、全て決めなさい、と。
収益が出たら、少しは運営側に払って下さい。
赤字なら無料だよ、と。
これはビジネスの経験の乏しい人にとっては一つのビジネス予行体験。
さらに様々な法的な部分も整えないと子供向け事業は成り立ちません。
これもいい勉強です。

彼女が一人でIkebana For Kids と言う企画を作り、教会のホールを有料で借り、自分で宣伝しても、利益が出るほどのことにはなかなかならないだろうと思います。
それが、メルボルンの実情です。
「華道師範」と言う看板を出してすぐ人が集まるわけではないのです。
ところが、「メルボルン生け花フェスティバル」と言う、いわばブランドの元、やってもらえば小さな成功体験にしてもらえるのではないか、と思うわけです。
それを将来に生かしてもらえないか。
自分の生徒の華道家としてのキャリアの心配などする必要がないという先生も多いでしょうが、メルボルンという土地柄、多少の配慮が必要かなと感じています。

Ikebana For Kids
私の予想ですが、おそらく前売りチケットは完売するでしょう。
「メルボルン生け花フェスティバル」はかなりの観客動員力を持っています。
その点では少し特異なイベントです。
https://waikebana.blogspot.com/p/program.html

2019年6月3日

メルボルン生け花フェスティバル Update


メルボルン生け花フェスティバルまで3ヶ月を切りました。
6月末まで日本からの出展者のお申し込みを受け付けています。
まだ、日本からの申込者は数名ですが、とても楽しみな方々です。
私たちのサイトでご紹介できればと思っています。
www.waikebana.blogspot.com

今回は私が1年限定で実行委員長を担当させていただきます。
いつも思うことですが、私の周りの方々はいい人が多い。
ですからとてもやりやすいのです。ありがたいことです。

きっといいフェスティバルになることでしょう。

考えてみると私は人との出会いに恵まれてきたなあとよく思います。

もちろん難しい人と出会ったことはあります。
尊敬していたのに、実は虚偽の人だったというようなこともありました。
必要以上に失望し、気持ちは落ち着きませんでした。
礼儀知らずなものですから相手がどれほど偉い方であってもためらうことなく声をかけていましたが、以来、慎重になりました。

また、Eric Berne の交流分析に出てくる、"See What You Made Me Do" (あなたのせいだよ)というパターンにもちこむ人や、スコッツペックの「平気で嘘をつく人たち」のような、少し壊れている人にも関わったことはありますが、あまり長くは続きません。
先方から私が嫌われてしまいます。
私が逃げてしまう、というのがより正確な表現なのかもしれませんが。

しかし、あのような人たちと関わらずに生活し、活動できるのだからやはりありがたい!
と、結局、自分の幸運に感謝するわけです。

2019年6月2日

メルボルン生け花フェスティバル参加者募集中


メルボルンの花展に出展しませんか?
日本からの申込締切は6月末日です。

詳細は次からどうぞ。waikebana.blogspot.com

上記サイトでは出展者の紹介も行っています。
サイトへ行き、Label のExhibitor をクリックして下さい。

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