華道家 新保逍滄

2020年8月12日

彫刻:木蓮、完成しました。

 



Magnolia Flower

Designed by Shoso Shimbo & Shoan Lo
Stainless Steel, 450 x 1200 x 450

The form of this sculpture was inspired by the magnolia flower. Flowers have held spiritual significance since ancient times. In some cultures, the magnolia flower signifies an enduring true love that lasts throughout time and space. 

Based on Ikebana aesthetics, this sculpture shows the different stages of an opening flower. As the viewers walk around, the flower may slowly open before their eyes. 

Floating Petals

Designed by Shoso Shimbo & Shoan Lo 

The work represents flower petals floating on running water. This combination is one of the most highly admired poetic images in Japanese culture. It signifies both the transience of our existence and the eternal cycle of nature, our spirituality. The metal flowers come from Hiromitsu blacksmith in Izumo, Japan.

Web: Le Pine Funerals

葬儀会館への制作依頼には木蓮の花からイメージを膨らませた。古代より花は精神的な意味を持つものとされてきた。類人猿もまた死者に花を手向けたという。木蓮の花は時空を超えた永遠の愛を象徴するとする文化圏もある。非対称性を用いたことで、周りを歩くと彫刻の花が徐々に開いていく様子が感じられる。

流れの花びらは、花の刹那性と流れの永遠性(大自然あるいは精神性)の対比として日本文化史上、最も親しまれてきたイメージのひとつであろう。壁作品はこのモチーフを元にしている。桜の花弁は出雲の鍛冶職人に特別に制作していただいた。

身近な人をなくした人へ幾らかでも寄り添える作品が作れるだろうか。芸術家としてのキャリア中、最も厳しい、妥協が許されない状況での制作となった。クライアントから喜んで頂け、ひとまず安心したものです。

ポスト・モダンの方法論としては、Hybridizationにあたるかもしれません。幾つかの文化的な影響をひとつの作品に取り込んで、新しい創造を試みているという意味で。現代芸術に散見される奇抜な表現とか見すぼらしい自己表現などは、特定の状況下でそれなりの価値はあるのでしょうが、死を見つめる人の前にあってどれほどの意味があるでしょう。そのような流行を追いかけるだけの薄っぺらなお遊びは不快な障害物でしかないでしょう。

むしろ自我など滅却した職人の伝統的な仕事の流儀に倣うしかないように思えました。花が開く一瞬の生命の緊張感が捉えられないか、そこだけに専念し、それが形になっていればありがたいと思います。

2020年8月8日

生花道場 2020年8月の予定

 

日本の皆様のご参加歓迎いたします。日本語案内

15 August 2020
Special Program - Using more than 5 materials
Apply by 11 August


25 August 2020
Special Program with Mr Katayama
Apply by 11 August - New Deadline!
Mr Katayama agreed to facilitate 2 sessions on 25 August. A few more extra seats are available now.
Please apply soon. We changed application deadline because the participants need some time to prepare for this very special Dojo session.

5 September 2020
Ikebana Aesthetics Program - Line 1
Please check our post about the sessions in September & October. 

生花道場というのはかなり変わった企画だろうと思います。

海外における通常の生け花教室とは、違います。
基本的には民間の私的なビジネスです。
公的な機関でも、非営利を謳う組織でもありません。

実はたくさんの方々に御協力いただけませんかと
お願いしていますが、あまりいいお返事はいただけません。
それは仕方ないと思います。あまり儲かる話でもないですし。
素性もよくわからないということもあるでしょう。

それでも、
勝手なお願いであるにもかかわらず、ありがたいことに御協力くださる方はいらっしゃいます。時に、日本の花道界を代表するような方々から。

おそらく、いくつか面白い、独特なところを認めていただいているせいではないかと思います。

まず、ひとつは海外で生花振興を目的にしているというところ。関心を持って下さる方々は、海外での活動歴があるなど、海外での生花学習者のことを考えて下さる方であるように思います。
しかし、海外の生花学習者になんらかの関心を持つ方が日本にどれだけいらっしゃるでしょう?おそらく多くの方々にとってあまり関係ないですね。

海外の生花学習者を新しい市場として関心を持つ方もあるでしょうが、おそらく大きな花道流派の一部の方々などに限られるでしょう。また、海外進出したいということであっても、問題はたくさんあります。特定流派という家内企業の海外進出ということにとどまらず、日本の文化、生花を海外でどのように伝えていくかということになると、難しい、大きい問題がたくさん出てきます。お金だけ集めて、あとは勝手にやってくれというわけにはいきません。かなり覚悟のいることです。

生花道場にご協力いただける理由が、もうひとつあるかもしれません。それは生花道場が生花ギャラリー賞メルボルン生花フェスティバルとともに、海外における生花振興運動の一環だということだけでなく、それが、小規模ながら長く続いてきた活動の一環だとご理解いただいているせいだろうと思います。生花道場自体は新しいのですが、10年ほどの
ボランティアを含む活動実績が信用の裏付けになっているのかもしれません。そう考えると、信用というのは小さなものであっても簡単には手にできない、しかし、獲得できたなら強力な資産になると言えそうです。

とはいえ、非力の少人数が試行錯誤を続けている現状です。
様々な不理解や問題にも立ち向かっていかなければいけません。
最大の幸運は、とても優秀な方々が味方になってくれているということ。
スタッフには、いつか儲かる話も出てくるから、とか、次の世代のために捨て石になる覚悟を持ったらいいじゃないかと鼓舞しています。鼓舞になっているかはわかりませんが。

さらに、ありがたいのは、この事業を本業としてやる必要がないということ。
これはきちんと事業展開した経験のある方
はご理解いただけるでしょう。キャッシュフローの現状をみれば、ビジネスとして存続できるレベルではありません。
幸運にもそこまでの厳しさを求められません。

まあ、どこまで行けるのか。
自分の仕事も大事にしつつ、とりあえずもう少し続けていけたらと思っています。
いろいろ学ぶことも多いので、それらについてもいつか紹介していきます。

あらためて日本の皆様のご協力をお願いいたします。

2020年7月27日

孤軍奮闘 ー 作品集出版に向けて


まもなく作品集を自費出版します。
と言っても安価なeBOOK 主体なので、どれほど広く行き渡るのか、怪しいところです(ハードカバーの実物版も注文できるのですが)。
「Shoso 2020」
として、前回2016年版の続きということになります。
過去4年間の活動をまとめたものですが、私にしては忙しい日々を過ごしたものです。
時に自作を振り返ってもみるのもいいかもしれません。都市封鎖継続中のメルボルンですから、いい機会です。

反省点は多々ありますが、いくつか気付いた点があります。

まず、一つは自分の作品のスタイルができてきたかな、ということ。
それがいいことなのかどうかはわかりませんが、ともかく、全体的にクリーンな傾向が強まっているように思います。以前と比べて、より単純で、清浄な方向へ向かっているように思います。

なぜこうなったのか、と考えているのですが、私のアート系の関心の出発点には車のデザインがあったせいかもしれません。子供の頃、車のデザインを無数に描いていたものです。車を見る目というのは、かなり発達していたように思います。説明が難しいのですが、例えば、ある車の新型車が発表されたとします。それを横から見て、テールライトの位置が以前のデザインより数センチ下がっただけで、すぐに全体からして「低すぎる」と気付いたりします。そういう目というか、感覚は生け花でも生きていると最近気付きました。おそらく似たような経験は多くの方がお持ちでしょう。車でないにしろ。子供の頃の経験には不思議なものがありますね。

もう一つ、4年間の活動をリストにしてみて、ふと、思い至ったことがあります。生け花の世界から現代芸術の、殊にその環境芸術に殴り込みをかけるという無謀な取り組みをやっているのは、おそらく世界で私一人ではないか?と。自分ではそこにやむにやまれぬものを感じ、非力ながら取り組んできたのですが、「こんなこと、他の華道家の誰もやっていないではないか」と今更ながら気付き、少し愉快な気持ちになりました。だから誰にも分かってもらえないし、相手にもされないのか、と妙に納得。好きなことをやっているのだから、共感者が得られないのは当たり前、と覚悟するしかないのでしょう。

作品集には以下の活動歴を掲載予定です。孤軍奮闘のひとつの成果として、ユネスコの学術誌に環境芸術についての論文が掲載されました。次の段階への小さなステップができたようにも感じています。

「Shoso 2020」まもなく、仕上がります。ご覧いただければ幸いです。

Shoso's Activities  2016 - 2020


Group Exhibitions (Curated)  展覧会

2019 Wa ∙ Ikebana Exhibition, Abbotsford Convent (Since 2015)

2019 Sogetsu Victoria Group Exhibition, Hawthorn Town Hall

2018 Yering Station Sculpture Exhibition

2017 Yering Station Sculpture Exhibition


Commissioned Works / Special Displays (selected) 主な制作依頼等

2020 New Year’s display, Koko restaurant, Crown Hotel (Since 2009) 

2020 Sculpture commission, Le Pine, Kew East, Melbourne

2019 Ikebana performance, Suntory Roku Launch, Crown Hotel 

2019 Ikebana display, RMIT Open Day

2019 Ikebana performance with the Gregorian Brothers, Melbourne Recital Centre

2019 Ikebana performance: The way of flower, Melbourne Recital Centre

2018 Biennale of Australian Art (BOAA), Ballarat

2018 Ikebana performance, International Academic Forum, Kobe, Japan

2018 Lorne Sculpture

2016 Ikebana Display, the Snow Travel Expo, Japan Foundation  

2016 Wye River Project, Lorne Sculpture 


Awards 受賞

2019 Shop Window Competition, Melbourne International Flower and Garden Show  (2nd Place)

2017 The Arnold Bloch Leiber Prize 17th Annual Yarra Valley Arts / Yering Station Contemporary Sculpture Exhibition & Awards


Publication 出版

2020 Environmental art as public art, UNESCO Observatory, Multi-Disciplinary Research in the Arts, 6, 1.9. 

2018 Nature in ikebana: Beyond sustainability (いけ花における自然:存続可能性を超えて). International Journal of Ikebana Studies (IJIS), 6, pp. 55- 60.  

2017 Ikebana in environmental art (環境芸術におけるいけ花の可能性), International Journal of Ikebana Studies (IJIS), 5, pp. 109-113.

2016 Environmental art and ikebana, International Journal of Ikebana Studies (IJIS), 4, pp. 27-38. 


Conference Papers  国際学術会議                                                                                              

2020  Nature in Ikebana: The freestyle ikebana movement in the 1920’s and 1930’s, and its effect on Avant-garde Ikebana after the war. The 11th Asian Conference on Arts & Humanities, The International  Academic Forum (virtual presentation). 

2018 Creativity & Education: Environmental art as a vehicle of message. Central de Studii European, Facultatea de Drept, Universitatea Alexandru Ioan Cuza, Co-funded by the Erasmus + Programme of the European Union, 17 April, Iasi, Romania.     

2018 Environmental art as public art. Creating Utopia Conference, Sponsored by Deakin University, Lorne Sculpture Biennale, March 22 - 25, Qdos Arts, Lorne.  

2018 Japanese aesthetics and environmental art. The Asian Conference on Arts and Humanities, The International  Academic Forum. March 30 - April 1, Kobe, Japan.    

2017 Transition of environmental art: In search of the strategies for sustainability. The Asian Conference on Arts and Humanities, The International Academic Forum. March 30 - April 2, Kobe, Japan.


2020年7月11日

生花入門



色々な機会があるごとに生花入門レベルの雑文を書いてきました。商業誌からユネスコの学術誌まで。それらを以下のページにまとめてみました。
生け花の歴史や文化背景については、日本語でも出版物が少ないですね。井上治さん(京都芸術大学)の『花道の思想』(思文閣出版)は稀有で重要な著作です。英語となると、さらに生け花の資料が少ないですから、多少ともお役に立てるかなと思っています。生け花はただのクラフトではなく、思想的にも深いものを持っているかも?などと多少でも感じてもらえたらありがたいものです。


2020年6月17日

生花道場カリキュラム



コロナの影響もあってオンラインで生け花指導ができないか、と考えはじめました。
すでに多く方が取り組んでおられますね。
あまり大きな期待も持たず、気楽に始めたのですが、これが大変なことに!
頭を絞りに絞る、大変な時間を食うプロジェクト、生花道場になりました。

おそらくもっと楽で、いい加減な方法もあったと思うのです。
あまり儲からないプロジェクトなのだから、と割り切れば。

Zoomをどう効果的に使うか?
私が関わっている他のプログラム、生け花ギャラリー賞和メルボルン生け花フェスティバルとどう関連付けるか?
タダで教材を公開し、どこで収益を出すか?
既存の多数の流派の指導とどのように競合を避けるか(小さいプロジェクトですからそんな心配は不要なのですが)?
カリキュラムがないと教育効果が上がらない。ではそれをどう作るか?他の方がやっているように基本型1、2、3などと作っていくか?
私個人が全て取り仕切るのはなく、できるだけ早く私のスタッフに主導権を渡したい。そのためにはどのようなシステムがいいのか?
ゲスト・ファシリテーターをお招きすれば謝礼も出したい。しかし、希望される謝礼の額はみな異なる。これにどう対処するか?
結局、このプロジェクトの目標は何なのだ?
さらに、つまるところ自分は生け花で何がしたいのか?

最後は自分の存在理由まで自問することになりました。
まったくあきれてしまいます。

まずは、この生花道場プロジェクトに関する自分の考えを書き出していったところ、一つの小論ができてしまいました。英文もほぼできあがっているので、こちらも間もなく発表します。

多くの方にご協力を依頼する以上、私の意図、プロジェクトの意義をきちんと説明するのが礼儀でしょうから、これは最初に必要なことだったのです。

参加して下さる方にも説明は必要でしょう。どうも通常の生け花コースとは違うようだが、何を考えて企画しているのだろう?お金を出して参加して大丈夫だろうか?などという疑問はきっとおありでしょう。

ある専門家の方にまず読んでいただいたところ、素晴らしいとお褒めいただき、気を良くしたのですが、同時に改定すべき点を多数指摘していただきました。本当にありがたいです。過激なところは可能な限り削ったのですが、まだまだ取扱注意を要する部分がありますね。学問の世界では批判は当たり前、血も涙もない厳しい世界ですが、生け花の世界ではどうもそのようにはなっていないようです。意図せず他人を傷つけたりすることがないか、気をつないといけないようです。

おひまなときにでもお読みいただければ幸いです。リンクは2つ用意しました。


短期公開講座におけるいけ花紹介案:デザイン理論と「専応口伝」

新保逍滄

要旨

現在、日本国外におけるいけ花人口は必ずしも増大しているとは言えないだろう。いけ花の国際的な浸透を妨げている可能性のある諸要因の中から、ここではいけ花の目的とその指導方法に注目してみたい。それらが受け入れ側のニーズに合っていないということはないであろうか。オーストラリアの大学における短期公開講座でいけ花紹介を導入する際に、問題となる現状、その対策として実践している事項を報告したい。いけ花の目的としては、環境問題の深刻化から従来とは別の側面、その環境芸術としての側面に注目してもいいのではないだろうか。また、指導カリキュラムについては、伝統的な指導方法の意義を認めつつも、外国人になじみのある視覚デザイン理論を用い、基礎レベルへの案内となるカリキュラムを提示してみたい。このカリキュラムの元となる理論は「専応口伝」の洞察に近似したものであることも示したい。


2020年6月11日

ビデオ作品例:バランス1

 

見て、作って、フィードバックを。https://zoomikebanadojo.blogspot.com/

Video tutorial for our session on 20 June 2020. 
Watch, try & get feedback!

How to join?  See our post about our session on 20 June 2020.
What is Balance 1?  Our program is based on the Dojo Curriculum

2020年5月31日

災いを転じて福となす(2)



Zoom を使った生け花レッスンの構想はあったのですが、なかなか動けずにいました。何のためにやるのか、というところがはっきりしなかったのです。労は多く、益は少なかろうと。

私が生け花に積極的に関わった例では、生け花ギャラリー賞和メルボルン生け花フェスティバルがあります。どちらも小規模ながら、苦労の多いプロジェクトですが、出発点は、生徒のためということでした。現在は、おかげさまで多くの方々のご支援をいただいています。

前者については、生け花学習者が参加できるコンクールが少ない上に、競争が激しい状況でしたので、生徒が履歴書に書ける受賞経験が持てるように、生け花の生徒だけが参加できる国際的なコンクールを作ってしまえばいいという発想でした。多くのボランティアの方々に支えられて継続中です。

また、和メルボルン生け花フェスティバルも、出展の機会が少ない生徒に機会を与えるためというところから出発したのです。それがのちに成長し、世界中から出展者をお呼びしよう、メルボルンの人たちに生け花をもっとPRする機会にしようというところまで発展していったわけです。

生徒に出展の機会を作ってあげたい、受賞可能なコンクールを作ってあげたい、さて次は、指導力強化のプロジェクトを作ってあげたいと思い立ちました。

私の生徒に関しては、皆さん性格が素晴らしい。生け花の作品力もかなり付いている。受賞歴、出版歴まで一つ二つ書けるようになった。当地でプロとして通用する段階まであと一歩というところです。もう一つ必要なのが、指導力です。上手に教えられないと、生徒がついてこない、教室が成り立たない、華道教師としてやっていくのは難しくなります。

そこで思いついたのはティーム・ティーチングです。経験ある教師と新米教師が共同で授業をする。新米教師は先輩の技を盗んだらいいでしょう。とても有意義な経験になると思います。あるいは自分ならもっと上手にやれるということもあるかもしれません。

このティーム・ティーチングとZoom を使った生け花レッスンを組み合わせようという発想が出てきました。とりあえずは私と組んでもらって、二人で生徒を教える。その新人教師が一人で教えられるということになったら、バトンを渡して主導的な立場で教えてもらう、そんな訓練の機会にしたいと思ったのです。

該当する新人教師に招待のメールを送りました。ところが返事があったのは一人だけ。あとの数人はからは返事もありません。

私と一緒に教えている期間は無料だよとしたのが問題なのかもしれません。しかし、憶測はやめましょう。日本とは文化が違いますから、いろいろがっかりすることは多いのです。一人相撲ということはよくあります。とりあえず希望者一人のみと組んで始めてみようと思います。

さて、本題はここからです。
落胆はしましたが、待てよ、と。

何も私の生徒にこだわる必要はないのです。世界中から、できれば日本の著名な華道家にも指導的な立場でご参加いただければ、なお面白いではないか、と発想を変えました。

おそらくそうすることで、世界のより多くの生け花学習者のお役に立てるはずですし、指導に当たられる先生にも意義深い仕事にしていただけるはずです。謝礼の問題を含め色々な問題は出てきますが、何とかやれそうな気がしています。もちろん、うまくいかないかもしれません。それはそれでいいでしょう。

ともかく、災いを転じて福となす、です。

上機嫌で新しいウェブサイトを1日で作ってしまいました。ぜひご覧下さい。さらに、生徒として、あるいは教師として、Zooom生け花道場にご参加下さいますようお願い申し上げます。楽しい出会いもあり、気楽な雰囲気の中、英会話の練習までしていただけます。さらに、参加費用も格安となっています。お気軽にどうぞ。

2020年5月30日

災いを転じて福となす(1)


災いを転じて福となす

最近立て続けに、このことわざを思い起こすような経験をしました。どちらも難と思えたものが、とても良い結果になりました。さらに、この福は予想もしなかった成果をもたらし、私の状況まで変わってしまったと感じるほどです。

まず、一つ目は、コロナの影響で、国際郵便が停止、手配してもらっていた私の論文の資料が日本から届かないという事態に。国際学会の論文の締め切りは5月末。

もちろん、諦めてもいいのです。国際学会への参加は自主的なものです。私は大学の専任教師とは違います。気楽な公開講座「日本美学」を担当しているだけなので、大学から論文発表へのプレッシャーはゼロ。しかし、せっかく培った学術的な技術を使わないことには、自分が納得しないのです。大学の図書館使い放題という特権を活かさないといけないでしょう。世界中の論文、本の主要なものほとんどが無料でダウンロードできます。

さて、一次資料を見ずに1920年代、30年代の自由花運動について何が書けるだろうか?何も書けませんよ、実際。

しかし、疑問点はたくさんありました。なぜ、30年代、第2次大戦の直前に自由花運動が起こるのだろう?国家が戦時体制に向かっている時期です。日本華道史の中でも私には最も面白いところ。

自由花運動とは、要するに一つの文化変容です。山根翠堂、重森三玲の論争がそのピークだろうと思います。そうすると、文化変容理論で有名なPierre Bourdieuの理論を当てはめてみることはできないだろうか?

あれあれ。ぴったりではないか!

山根、重森らの思想内容はかっこに入れて、中身を全く検討することなく(資料がなく検討できないので)、彼らの立場と社会の外的要因との関係だけに注目し、さらに、戦後の前衛生け花との比較を試みると、両者の違いがはっきりしてきました。「戦前の自由花運動の開花が、戦後の前衛生け花だ」という見方が普通でしょうが、Pierre Bourdieuによれば、両者は対立関係ということになります。全く性格が違います。

あまりに興奮したので、執筆中、日本でもっとも著名な華道研究家のお一人に何度もメールしてしまいました。お忙しい方なのですが、一つ一つに丁寧なお返事をいただき、恐縮しています。

学術論文というのは、その程度の発見でいいのです。歴史的な事柄について、事実を羅列するだけの論文がありますが、実はそれは退屈な中学生の自由研究レベル。また、やたらと難しい言葉、断定表現ばかりで何を言っているのか分からない論文もありますが、それは威張りたいだけの方が書いているのでしょうか。

幾つかの歴史的な出来事がどう関係しているのか、そこにどんな意味があるのか、通説を覆すことはできないか、そこまで考えてはじめて大卒レベルの論文になります。理論がなければそこまで考えられません。

今回は、久しぶりに納得のいく論文になりました。出版されたら、またリンク先をこのサイトの出版リストに掲載します。とはいえ、正味1週間で書いた英語論文なので、いずれ猛反省することになるかもしれませんが。次の方が乗り越えていく踏み台になれば十分でしょう。

二つ目の「災い転じて」は、最近慌てて始めたZoom 生け花道場に関する出来事。長くなってきたので、それはまた、次の機会とします。


2020年5月25日

Zoom 生け花道場、次回のご案内



English Site: Zoom Ikebana Dojo (Click)

Zoom生け花道場に参加しませんか?英語で生け花を学びたい方、教えたい方、歓迎します。

2020年6月の予定(日本時間)
:
6月6日(土曜日)3:00pm - 3:40pm, 申込締切:5月30日
6月20日(土曜日)3:00pm - 3:40pm, 申込締切:6月13日

参加方法:日本語案内

2020年5月17日

Zoom生け花道場日本語案内


Zoom生け花道場の日本語案内ができました。
https://zoomikebanadojo.blogspot.com/p/blog-page.html

生け花を学びつつ、英会話も同時に練習したい、というような方にお勧めします。

何度かこのブログで書いたことがあるのですが、私のクラスはとてもいい生徒さんが多い。
わざわざメルボルンにいらしゃるまでもなく、日本から参加できますよ、ということなのですが、需要があるでしょうか。

2020年5月13日

一日一華:自分が気にいったら


配達用の生け花です。
運びやすく、贈答品らしく、
そんな心がけが必要でしょう。

さて、自分が感動すると、どうしても他人と分かち合いたくなる、というところがあります。

それは、あまり意味がないということは承知しています。
十分承知しています。
なんといっても、私は家内と映画の好みが合ったことがないのです。
自分がいいと思った映画が身近な人にことごとく否定されると、
自分の感動は誰とも分かち合えないのだと、ゆるゆると分かってきます。

それでも、いい映画を見たり、いい本を読んだりすると
他人に薦めたくなる、という欲求は抑えがたい。

多分、若い頃にいい友達に恵まれていたせいでしょう。
多分、彼らは皆、我慢強かったのかもしれないですね。
私の興奮によく付き合ってもらっていました。

で、最近、読んだ本がとても面白かったのです。
内容についてはまたいつか触れるでしょうが。
もし、関心のある分野が、日本学、モダニズム、日本近代文学、川端文学、カルチャル・ナショナリズム、ジャポニズムなどでしたら、次の本、オススメです。久しぶりに興奮しました。機会あるごとに周りの方々に薦めまくっています。用意していた生け花論を大きく書き変えることになりました。

Roy Starrs (2011), Modernism and Japanese Culture. Palgrave Macmillan.

とはいえ、こんな専門書、「そうか、自分も読んでみよう!」なんていう方はあまりいないでしょうね。分かってはいるんですが。

Zoomで生け花


Zoomを生け花指導に使えないか、と多くの方が取り組んでおられるようです。数あるインターネットを使っての指導の試みの中では、とても面白いものだと思っています。
やがては、家元制度の根幹を揺るがすほどのことになるかもしれないと、個人的には思います。

私が同時に考えているのは、指導という「教師から生徒へ」という一方的な使い方だけでなく、共同学習の機会にできないか、ということ。

ファシリテーターを一人に担当してもらう。
参加者で励ましあい、各自の勉強のペースメーカーの機会になるような使い方です。
これは難しいでしょうかね。
私が少々かじった応用言語学の方では、Cooperative Languge Learning という、グループワークの多用などで、かなり影響のあった指導方法があります。上位の力のあるものから、下位の生徒へという一方的な情報の流れ(伝統的な指導方法) を改善していく力がありました。生徒は先生からだけでなく、他の生徒からもたくさん学ぶのだということを示しました。

生け花の現状は、家元制度が強固です。それ以外はなかなか通用していないでしょう。
それが悪いとは思いませんが、それが全てだ、とも思いません。
もっと多様であっていいのでないでしょうか。

生け花の力をつけるために、本当に大切なのは自分でやること。
受け身ではいけないのです。
参加者の間で、自主トレやろう!というような空気ができると、共同学習はうまくいくでしょう。そうしたら受講料も安くていいだろう、と。
ただ修行の場で無料というのは私は好みません。緊張感がなくなります。

実は、私の中にあるモデルは、故勅使河原宏の男子専科クラスです。
私が参加した頃ですから、もうかなり昔の話。
5、6人のクラスメートの一人は假屋崎さんでした。
ちなみに彼はクラスの優等生、初心者の私は最底辺でした。

あの学習環境は特殊なものでした。
特に宏家元から何かを学ぼうということではなかったと思います。
だいたい家元からのアドバイスは、せいぜい一言、「重い」とか。
もちろん、宏家元は頂点に立つ特別な方でしたから、そこにいらっしゃるだけでありがたかったのですが。

何かを教えてもらう、というよりも、各自自分のベストを尽くす機会、と捉えていたのではないでしょうか。参加者はそうした自分の限界へ挑戦する場を求めていたようでした。

免状を取るためとか、評価を得るためとか、あれこれくだらないことはどうでもいい。
もっと、真剣に生け花に向き合っていたように思います。
修行者の集まりといった感じでした。
そんな環境が作れないか。
いつか私にもっと力がついたら、きっとうまくいくのでしょうが。
どうなりますか。
ダメでもともと。しばらくはいろいろ研究してみます。
日本からも以下の生け花道場への参加者募集中です。
一緒に考えてみませんか?



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