華道家 新保逍滄

2015年2月27日

日本での研究発表

2015年4月、いけ花と現代芸術について、以下の通り2回の研究発表を行います。 ご都合が付きましたら是非お越し下さい。 国際いけ花学会春期例会 日時:2015年4月2日午後2時〜4時 場所:京都造形芸術大学人間館NA204 題目:「いけ花における拡張領域(2):ロザリー・ガスコイン」 参加費:500円。国際いけ花学会協賛会員の方は無料です。 先に発表した「いけ花における拡張領域(1):勅使河原宏」の続編になります。 ガスコインについては以下のブログのポストで紹介しています。 http://ameblo.jp/shososhimbo/entry-11963417369.html 日本語による発表です。 詳細:http://www.ikebana-isis.org/2014/12/blog-post_28.html The...

2015年2月25日

一日一華:小説・教室のうわさ話(3)

「ハロー、ショーソー」 おっと、見つかった。まだ教室開始の20分前。 おにぎりでも食べておこうと台所から移動途中だった。 「ね、ちょっと聞いてよ」 玄関でスリッパに履き替えもせず、 土足で入ってきて、私の前に立ちはだかる。 また始まった。ナタリーさんに捕まったら、逃げられない。 20分でも30分でも、 いや、一日中だっておしゃべりがとまらない。 腹ごしらえは諦める。 「息子のガールフレンドなんだけど、最悪。悪夢よ。 私達に、サイテーの親、なんて面と向かって言うのよ。 親がひどいから息子がこうなったんだ、なん...

2015年2月23日

一日一華:小説・教室のうわさ話(2)

教室の残り物でひとつ活けてみました。 ダリアは我が家で育てたもの。 簡単に育つ上、色がきれいです。 さて、私と私の生花の生徒とのうわさばなしなどを 紹介してみようかということです。 しかし、個人的なことに触れて、面倒なことになっても困ります。 「なによ、ここだけの話だったのに!」 なんていうことで。 ですからこのシリーズ、小説にします。 すべて架空。 海外の小さな街の小さなエピソードの紹介、 でも、そこにちょっとした異文化が感じられたら面白いかな。 しかも、定期連載ではありません。 気まぐれ連載です...

2015年2月22日

一日一華:教室のうわさ話(1) 

メルボルンの花菱レストランに活けた作品。 毎回、花材を用意してもらい、とても便利なうえに、 なにがでてくるか分からないという面白さがあります。 さて、オーストラリアで生花を教えていますと ちょっと日本では経験出来ないだろうなあということがよくあります。 まずは、生徒が教室でどんな話をしているか、 なんていうところからお話ししてみましょうか。 生徒は明るい方が多く、オープンに接してくれますし、 教室もいい雰囲気でやっていられます。 今回はマディーのことを少し。 彼女については話したいことがたくさんあるのですが。 普通は仮名を使うつもりですが、彼女は実名で大丈夫でしょう。 まだ大学を出たばかり。 母親と2人で教室に通ってきます。 昨年度、頑張って週に3回も教室に通っていました。 そして、念願の生花ギャラリー賞受賞。 そのころ趣味で、バンドで歌っていたのです。 しかし、どうもうまくいかないと話してくれました。 「...

2015年2月16日

一日一華:笑うか怒るか(5)

これまで数回に渡ってお話ししてきたいけ花ギャラリー賞を巡る国際紛争(笑)に関連して、私が英文サイトに忠告を載せ、 いけ花ギャラリー賞のサイトに私達の決定を載せました。 その後、パスタ氏からはなんの反応もありません。 ブランからはいけ花ギャラリー賞のサイトに決定を 載せるや、5分もしないうちにメッセージが届きました。 「たった今、ニュースを読んだところです。 心よりお礼申し上げます。 貴方の公平な態度、さらにいけ花の本当の精神を 反映させた決定にお礼申しあげます。 また、他のポストで、今回の件に関連...

2015年2月13日

一日一華:笑うか怒るか(4)

私達のオンライン生け花コンクール、生け花ギャラリー賞で起こった 国際紛争(笑)について報告しています。 某国のパスタ氏が、他国の生け花学習者を侮辱したということです。 笑えるような、腹立たしいようなできごとでした。 さて、私達のパスタへの対応ですが、 まずは穏やかにいきます。穏便に納まればそれでいいでしょう。 彼を罰しようと動いて、溝を深めるのもどうか。 この愚行の原因はパスタの自己保身、不寛容にあるのだろうということを 既に前のポストで分析しました。日本在住の方には分かりにくい事情があるのです。 ...

2015年2月12日

一日一華:笑うか怒るか(3)

私たちの生け花コンクール、生け花ギャラリー賞を巡る国際紛争(?)についてさらに続けます。 パスタからメールで攻撃を受けたアナの教師、 ブランが私にメールを送ってくれました。 自分たちの事情を詳しく説明してくれています。 正規に生け花を学ぶ機会はないが、日本からの訪問者があるたび その機会を捉えて学んできたと。 なんともけなげではないですか。 コンクールに参加していいだろうか?というのが趣旨。 当たり前だよ、と返事をすると、とても感謝して下さり、最後に、 「この件についてきわめて不寛容な方がある。 くれ...

一日一華:笑うか怒るか(2)

私たちの生け花コンクールを巡る国際紛争(?)について続けます。 あまり愉快でもないこんな話を続けるのは、 ひとつには、今回の問題にはパワハラ的な性格があると思うからです。 さらに、いろいろと学べることがあるように思うからです。 おそらくこんないじめのような問題はいつでもどこにでもあったはずです。 しかし、従来は、たしなみのある方々が多い上に、 インターネットも普及していなかったわけで あまり表立つこともなかったのでしょう。 特に海外での問題となると。 でも、黙って耐えるなんてもうそろそろ止めていいん...

2015年2月11日

一日一華:笑うか怒るか(1)

古い針金で遊んでみました。 さて、過去2回のポストで触れた問題。 私たちの生け花コンクールを巡る国際紛争。 笑うべきか、怒るべきか。 私の生徒も家族も皆同じ反応。 笑ったり、怒ったり。 さらに考えてみると、そこには面白い問題も潜んでいるように思うのです。 日本文化について。 特に、海外ですから、異文化としての日本文化の受容の問題。 問題の概要がはっきりしてきましたので 何回かに分けて報告しておきましょう。 詳細を忘れたくないですし。 やはり、面白いです。私自身、いつか別の形で書きたいと思うほど。 それ...

2015年2月9日

一日一華:庭の草木で

この作品の花材はすべて庭から採ったもの。 アガパンサス、紫陽花、家の前の街路樹の実。 さらに花器まで自作です。 前のポストで、生け花をやっていると難しい人と出会うことがある、 と書いたばかりですので、 今回はいい出会いもたくさんあるのだというお話。 メルボルンでいつも感心するのは池坊の先生方です。 とても礼儀正しい。 しかも友好的。 池坊の本部から講師の方や家元がいらっしゃると よく声をかけていただきます。 「他流の先生がいらっしゃっても、案内なんてされないんだからみんな参加しなさい」 と私の生徒を誘...

2015年2月8日

一日一華:ストレリチア

今回も教室の残り物を集めて、小品をひとつ。 ストレリチアの葉を踊るように立ててみました。 日本の事情は経験不足で分かりませんが、 海外で生け花をやっていると、時々、難しい人に出会います。 おそらく生け花がその方のアイデンティティの根本になっているような方。 生け花をとったら、何も残らないなんていうことにもなりかねない。 もちろん、熱心で、素晴らしい方が多いのです。 しかし、どうした拍子にか、おそらく自信がないせいでしょうか、 曲がった形でそれが出てくる方があります。 攻撃的になったり、排他的になったり...

2015年2月5日

一日一華:ドライフラワー

クライアントのお宅での生け込み。 3点の依頼ですが、たいていここにも、あそこにもと 追加になる方。 日本で買った木製の壷に オーストラリアのネィティブ直物の 乾燥したものも活けて行ってよ、という追加リクエスト。 了解、了解。 ちょいちょいと、添え木留めで一種活け。 水は無し。 そうそう、1年で腕時計を4つ買った話をしたかったのでした。 今後、時計を買う時の参考にしていただければ、 私の失敗談にも多少意味があるでしょうか。 ひとつめ:セイコーのキネティック 少々高かったのですが、万年カレンダー付きで毎月...

2015年2月3日

一日一華:フサスグリ

メルボルンの花菱さんで、見事なフサスグリを用意していただきました。 ゼリーのような瑞々しさ、食べたくなります。 この日本レストランでの生け込みは、 毎週月曜日、最初の仕事ですから、 気持ちを切り換えるのにとてもいい機会。 2時間ほど朝の瞑想の時間をいただいているようなもの。 さて、今週も頑張ろう...

2015年2月1日

21世紀的いけ花考 32

 室町時代、いけ花(一般名称)には、正統派の立て花に対し、異端の生花がありました。両者の間には強烈な対抗意識があったのではないかと推定しました。立て花が弥生ー貴族ー仏教系であるのに対し、生花が縄文ー武士ー神道系だろうと。  さて、この仮定を前提として、生花の意味を考えてみましょう。生花とは(1)死んだ花を蘇らせるということなのか、(2)生きている花を生き長らえさせるということなのか?  正解は(1)です。(2)とすると、生花作者の主張は次のようになります。「生花は切り花を生き長らえさせているが、立て花は...

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