華道家 新保逍滄

2021年3月15日

日本文化の発信(1)

 

先週、当地(オーストラリア)のラジオで東日本大震災の特集をやっていました。

そこに二人の日本専門家が登場し、あれこれ日本社会にコメントしていました。そこで「ああ、そうか」と、「自分がぼんやり思っていたことはこういうことか」と納得したことがあるので書いてみます。

まず、日本文化の紹介者、研究者には大雑把に言って、二つのタイプがあるということ。

一つは、日本文化にある程度の敬意を持った方。というか、日本文化の奥深さを認識し、自分の知らないこともありえると自覚している、謙虚な印象の方。

もう一方は、日本人なんてこんなもんさ、と見下すような態度が明らかな方。専門書を出版していたり、大学の教授であったり、日本政府から賞をいただいていたりと(日本を貶めるような学者を称賛する変なところが日本にはあります)、社会的には成功しているようで、大変結構なことですが、アクセントの強い英語で、大声で話すこんな傲慢な方が酒の席にいたならば、私など速攻で膝蹴りを喰らわしてしまうかもしれません。

しかし、武力行使の前に、こういう方の話も聞いてみるものです。

すると、某国の共産主義は素晴らしい、というようなところに行き着くのです。なあんだ、その筋の方か。その程度の頭しかないのか、と。致命的に勉強不足の輩ではないか。こんな方に「日本人は基本的にみんな馬鹿」などと言われても、相手にする必要はないでしょう。

さらに、海外で日本文化に携わっている自分の立場についてもあれこれ思うことがありましたが、それについてはまた別の機会に。

Related Posts:

  • 背伸びしすぎる生け花(1) 生け花は日本の伝統芸術のひとつ。 この点では多くの方が賛同してくださるでしょう。 しかし、他の芸術、芸能と比べて背伸びしすぎではないでしょうか? もしそうだとすると、そこには生け花の特殊性があるように思います。 例えば、音楽、和太鼓とか三味線とか、海外でも人気です。 例えば、陶芸、木工、板画、日本画、能、盆栽などと比べてみてください。 こうした分野で修行をして、先生になったとします。 そうすると師匠とか先生とか言われるようになるでしょ… Read More
  • 遊びとしての生け花(2) 前回の話の続きです。 https://ikebana-shoso.blogspot.com/2018/12/blog-post_4.html 道としての生け花 遊びとしての生け花 とても大雑把に言ってしまうと、上記、2つの態度が生け花にはあるように思います。 もちろん、前回考えたように、どちらも大切なアプローチ。 この対立は、よく考えてみると、華道史の中で繰り返し現れる対立や論争の根本にも関係してくるように思います。つまり、これら歴史… Read More
  • 生け花における芸術とポルノ(1) 先頃、ある花道家のデモンストレーションを拝見しました。 そのデモの主催者側の方に感想を尋ねられたので、次のように答えました。 「初心者を対象にしたデモだから、あのような内容になったのでしょう。 もちろん、見事でしたし、勉強になりました。 でも、あの方の実力をギリギリのところで発揮したものではなかったですね。 本当はもっとすごいことができる方なんですがね」 もちろん、批判などするつもりは一切ありません。 楽しませんていただいたのですから。… Read More
  • 遊びとしての生け花 (1) 生け花への態度について。 生け花は修行だ、道だ。日々鍛錬、精進して、高い境地を目指すもの、という考え方もあると思います。 また、一方、楽しいからやるんだ。花をいけること自体、単純に面白い。余暇にやっているから続く、そういう態度もあるでしょう。 私は前者の考え方に惹かれてきました。 生徒にももっと頑張りなさい、昇級しなさい、教える機会があれば教えなさい、機会を作ってあげるから展覧会に出品しなさい、コンクールがあるから参加しなさい、とい… Read More
  • 作品集出版に向けて(1) 2019年のクリマスの頃、作品集を自費出版しようかな、と考えています。 問題はいろいろありますが最大のものは費用。 ある出版社に問い合わせたところ、500部で280万円くらい。 安くはないだろうと覚悟していましたが、ここまでとは。 さらに、たとえ本が売れたとしても、1冊につき定価の55%は 出版社の取り分となります。 それだけ出費をする意義があるのだろうか。 ここを考えているところです。 私のお金を使うつもりですが、家内にも相談しな… Read More

Shoso Shimbo

ページビューの合計

594,213

Copyright © 2025 Shoso Shimbo | Powered by Blogger

Design by Anders Noren | Blogger Theme by NewBloggerThemes.com