華道家 新保逍滄

2016年12月7日

一日一華:花菱さんへ



環境芸術についてあれこれ考えています。
おそらくこれはとてもわかりやすい現代芸術の部類でしょう。
比較的、ではありますが。
概念芸術、アブストラクト・インプレッショニズム、ポップアートなど現代芸術の様々な部類と比べて、なんと解釈がしやすいことか。

しかし、このわかりやすさが気になります。
どうも機能面が強調されすぎないか。
芸術作品に機能を期待するというのは、本来とても稀なことです。
そこをもう少しきちんと考えておきたいと思っています。

例えば、エコ製品が市場に溢れていますが、
エコ的要素+製品の組み合わせです。
同じように
エコ的要素+芸術作品で
エコ・アート(環境芸術の1部門)が成立すると考えるのは
危なっかしいわけです。

一日一華:チューリップ


チューリップのなんとも綺麗な色。
それだけを見せたい。

毎年のことながら十二月は色々なことに振り回されます。
なんとか環境芸術についての論文を数日中に仕上げたいともがいています。
国際いけ花学会の学術誌に投稿できるほどのものにしたいのです。

さらに来年三月末には神戸で開催される国際学会で
環境芸術についての発表も行いたい。
もちろん、いけ花との関連も出てきます。

慌ただしい時、ブログのポストが増えます。
逃避行動でしょう。

2016年12月6日

一日一華:スイートピー


スイートピーがあれば、小品に使ってみたくなります。
クライアントさんのお宅です。

あれは、論語だったでしょうか?
あの言葉・・・
探さないと出てこないわけですが、
私がふと感じ、書き留めてきたいと思ったのは、
要は、努力の大切さ。

私自身、よく思うことですが、
努力しても、成果が得られないことはよくあるわけです。
結果が出ない。
でも努力した限り、別のところで花が咲くだろうと思っています。

問題は努力が不十分で、結果が出ない場合。
10の成果を期待していながら、2か3の努力しかしていない場合もあるわけです。
その程度の努力しかしていないなら、そんなにたくさんあてにしてはいけないのです。
でもその現実がなかなか受け入れらない人もあるようです。
境遇が悪いとか、自分は差別されているとか、愚痴が出てきます。
こういう人に対して、ふさわしい諺があったように思うのですが。
ちょっと厳しい言葉が。
そのうち思い出すでしょう。













2016年12月5日

21世紀的いけ花考 53


 前回、生花と現代芸術の違いを簡単に述べました。生花が主に感性に訴えるのに対し、現代芸術は主に知性に訴えるという特徴があるようです。その違いはまるで俳句と小説の違いのようでもあります。しかし、そのような区別は暫定的。困ったことにそんな違いを意識すると、そこからまた芋づる式に様々な疑問が出てくるのです。

 例えば、生花は作品が美しいかどうかが全てだとすると、それは芸術というよりデザインの特徴に近いのではないでしょうか?デザインとは要は見た目が全て。綺麗か否か、そこが肝心。分かり易い例としてまず西洋花について考えてみましょうか。おそらく西洋花はデザインに属するというのが一般的な了解でしょう。それは、フローリスト養成講座は芸大ではなくTAFEカレッジに属していることでも分かります。商品として成立しなければいけないという実際的な要請があります。

 ところが、その制約を無視する、「ここまでくると芸術だね」と評したくなるような西洋花もあります。おそらく売れないでしょうが。例えばベルギーの出版社から隔年で出版される「インターナショナル・フローラルアート」にはそうした作品が溢れています。この領域ではおそらく最高レベルの出版物のひとつ。私の作品も近年、連続で掲載されていますのでご覧下さい。デザインの延長線上に芸術が現れるという面はあるかもしれません。かといってどちらが上でどちらが下ということもないでしょうが。両者は便宜的に区別できるものの、西洋花においてさえその境界はかなり曖昧です。

 では、生花もデザインでしょうか?そこは意見が分かれる点。また、「生花は芸術だ」という意見も多いでしょうが、その短絡についてはこの連載で繰り返し批判してきましたね。生花と芸術の違いということで。では、あらためて生花とは何か?デザインか芸術か(あるいはデザインから芸術へ)という物差しのどの辺りに位置付けたらいいのでしょう?デザインのようでもあり、芸術のようでもある。実は、新たな視点を踏まえない限り、この疑問に答えることはできません。その視点とは何か?さらに掘り下げていくことになりますが、また来年度お付き合い下さい。

 今回紹介するのは、ある女子校の卒業式のために活けた作品。ステージいっぱいにと予定していましたが、やはりスペースの制限がありました。大好評でしたが「卒業式に花は欠かせない」というのが当地でも常識になるといいのですが。

2016年12月4日

2016年12月1日

2016年11月30日

一日一華:枝物


本年度十一月には年末ワークショップとして
 ブライダル・ブーケ
 投げ入れ
 枝物を取り入れて
という3つの課題に取り組みました。

3回目は大きな枝で遊ぼうということでしたが、
「大きな枝」とは何だ、その定義は?と尋ねられました。
なるほど。
自分でもきちんと定義したことがなかったことに気付きました。
大きな枝とは、花ハサミで切れない枝だ、というと納得してくれました。
のこぎりで切断して、もう一度集めて、組み合わせ、
ワイヤ、スクリューなどでつないで抽象的な形を作ります。
大きな作品を作るためには必要なテクニックです。
参加者はよく頑張ってくれました。
初めてのこぎりを使う、ドリルを使うという方も
何人かありましたが、とても楽しそうでした。
facebook, blog などで生徒作品を紹介予定です。


2016年11月28日

2016年11月21日

一日一華:商業花

クリニックのレセプションに。
ピンクの花はVerticordiaというそうです。

商業花ですからクライアントのご希望を大切にします。
また、あまり奇抜なものは避けたほうが無難。
典型的な商業花のいけ花を目指しています。

場所に適切なもの、サイズ、作品の雰囲気を合わせることが大切。
さらに、もちの良い花を、というのも大切な要素です。
通常1週間に1回ですから。

しかし、商業花とはいえ、作っている間は楽しい瞑想の時間で、
お金などいらないのになあとよく思います。
材料費、搬入の手間を考えると
そうも言っていられないわけですが。

2016年11月10日

2016年11月4日

21世紀的いけ花考 第52回



 いけ花と現代芸術の違いに気づくと、いけ花を、そして現代芸術をより深く理解する手助けになるでしょう。現代芸術の例として村上隆の「お花」という作品をグーグルしてみて下さい。花の中にスマイルが描かれています。それと例えば私の以下のいけ花を比べてみましょう。花菱レストランに活けたもの。

 私は村上隆については無知です。間違ってるかもしれませんが、おそらく「お花」をいくら眺めていても、作品の本質は分からないでしょう。綺麗ではあるが、子供でも書けそうだなと思いませんか?以前、現代芸術の命は意味だと書いたことがありますね。では、この作品の意味は何でしょう?

 おそらく作者は浮世絵を含む日本絵画の伝統、アニメ、アメリカ産ポップアートといった歴史を踏まえてこそ、意味が生じてくるというあたりを狙っているのでしょう。つまり、作品の意味は作品の外にあるコンテクスト(歴史や社会文化)から生じてくるわけです。さらにその意味を考えることで思想も生まれてきます。このコンテクストが分からなければ、意味も分からない。「子供の絵じゃないか」で終わってしまうのです。

 それに対し、いけ花は目の前にあるものが全て。もちろん、「この枝の使い方は伝統的な立花の現代版かな」というような歴史的なコンテクストを踏まえた解釈が若干出てくることもあります。しかし、基本的には目の前に提示されたものに美を感じられるかどうか、そこが本質であり、命です。コンテクストを踏まえた意味、思想まで発展させるということは得意ではありません。つまり、知性ではなく感性に訴える芸術です。

 これは俳句の鑑賞に似ています。「古池や蛙飛び込む水の音」という句。自然の中の静寂、寂寥感、それがこの句の命でしょう。そこに共感できればいい。もちろん禅の思想やら何やら深い解釈も可能でしょうが、それは枝葉末節。こだわり過ぎれば本質を見失ってしまいます。いけ花も俳句も感性に響く作品を作るために作者は技術を磨かなければいけません。技術は尊重されます。その習得のためには修練が必要で、その過程が道であり、人間脩養であるとするからです。

 しかし、西洋芸術では技術さえあれば誰でも描ける花の絵など重視しなかったという話を前回しましたね。技術よりも知識、想像力に訴えるものを重視するわけです。現代芸術にもその態度が続いています。

 今回のとりあえずの結論は、現代芸術は知性で鑑賞し、いけ花は感性で鑑賞する芸術だということです。 

2016年11月3日

一日一華:レモン


庭のレモンです。3メートルほどの高さに育っているのに全く実をつけないレモンでした。
ところが今年突然の豊作。おそらく冬の間、雨が多かったせいでしょう。
枝が垂れて、車の頭にぶつかります。
仕方なく2本ほど剪定。
捨ててしまうのはもったいないですね。
素晴らしい花材です。
庭の他の草花と取り合わせてみました。


Shoso Shimbo

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