華道家 新保逍滄

2017年7月9日

一日一華:宙に浮く森


宙に浮く森を、というリクエスト。
メルボルンの和食カフェChottoさん、です。

前回のポストで、海外における生け花教師の立場について触れました。
https://ikebana-shoso.blogspot.com.au/2017/07/blog-post.html

どうも日本とは違う。
日本のように、生け花教師という立場に対する社会的な認識がない、
ということが大きな違いでしょう。

ということは、
どのような在り方をしてもいいということでもあります。

日本と同じような華道教師を目指してもいいでしょう。
自宅教室で地域の方々に花を教える、というのが基本でしょうか。

あるいは、もっと活動の場を広げてもいいのではないかとも思います。
すると、芸術の世界に関わってくることになるでしょう。

その際、最大の難関は、芸術家という立場への理解。

私の経験の範囲内での話ですが、
簡単にいえば、芸術家には実技と理論、双方が求められます。

実技だけで活躍しているように見える芸術家もあります。
割合は少ないですが。
芸大など出ていなくても、作品が素晴らしいという方はあるのですね。
それで十分ではないかと思えます。

しかし、話してみると、多くの方が
機会があれば、芸大で学位(修士以上)を取りたいんだ、と言います。

また、私がオーストラリアの大学で美術修士を履修していた時、
半数以上の生徒が、年配の方々でした。
彼らはある程度、芸術家として実績を積んでいる方々。
そうした方々が、一層のキャリアアップの方便として、
芸大で学位を目指しているのです。

それに対し、学部からそのまま大学院に入ってくる
20代の若い学生は数が限られていました。
残念なことに、彼らは学位を取っても、
その後、芸術家として活動する人はかなり少ないようです。

芸術家としてキャリアを積むのはなかなか大変です。
おっと、話が逸れてしまいました。

今回お話ししたいことは、理論の大切さということ。
芸術家として活動していく際に、
大学院で学ぶ程度の理論を身につけると有利、
あるいは、それが望ましい、という状況であるようなのです。

理論は芸術家としての実技面にも必要になってきますし、
社会的にも、つまり、芸術家として認めてもらうためにも大切なのだということです。

要するに、華道家を超えて、芸術家を目指そうということになると、
理論が求められるということ。
芸大に行ける機会があれば、理想的ですが、
なかなか難しい場合が多いでしょう。

一つの方法は、自分で覚悟を決めて取り組むことでしょう。
独学でもいいのです。

以上が、基本です。

この基本を外れると、困ったことになるのです。
勘違いをしている方もよく見かけます。
勘違いの具体例についてはまた別の機会に。

予想できるでしょうが、本人は芸術家のつもりでも
まったくそう認めてもらえない場合もあれば、
理論など持ち合わせていないのに、持っているふりをするというような
場合も出てくるのです。

生け花というのは、勘違いの温床になりやすい、
危うさを持っているように思います。

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