2017年度のいけ花ギャラリー賞の準決勝進出の17作品が発表になりました。
ピープルズ・チョイス賞には、どなたも投票できるようになっていますので、ぜひご参加ください。お一人3作品以上を「いいね!」して下さい。締め切りは7月末日です。
https://www.facebook.com/pg/IkebanaGallery/photos/?tab=album&album_id=1232144103581414
いけ花ギャラリー賞については、思うところがいろいろあります。
嬉しいことのは一つは、準決勝に選ばれただけで、喜んでくれる方が多いということ。
世界各地から感謝のメッセージが届いています。
そして、この発表のポストが約1万人にまで拡散するということ。
他のフェースブックでのポストでは、私たちには通常とても達成できない数値です。
おそらく著名なフラワーアーティストででもない限り、なかなか達成できないでしょう。
選ばれた生徒にとっても、もちろん、普段見てもらえない人たちにまで作品を見てもらえ、励ましのコメントをいただけるわけです。
生徒の作品のレベルが上がってきたこともあるでしょう。
いけ花における賞が注目を集めるということもあるでしょう。
この賞の趣旨などについては、国際いけ花学会の学術誌第4号に発表しましたので、機会がありましたら、読んでみて下さい。4号はまだ発売中ですので、全文を掲載するわけにはいきませんが、一部のみ以下に紹介します。4号のお申し込みは以下からどうぞ。
http://www.ikebana-isis.org/p/blog-page_1825.html
いけ花ギャラリー賞の目指すもの
新保逍滄
2012年以来、オンラインいけ花コンクール、Ikebana Gallery Award (IGA) を年1回開催しています。世界中のいけ花学習者が流派を問わず無料で参加できる世界初のオンライン・コンクールです。2015年度にはフェースブック上での受賞発表通知は約1万人の方々に届くほどになりました(http://ikebanaaustralia.blogspot.com.au/, https://www.facebook.com/IkebanaGallery/)。
端緒
IGAを思いついたきっかけは幾つかあります。最大のものは、オーストラリアで美術修士を履修中から幾つかの彫刻公募展に入選してきた私自身の経験です。他の出品者やキューレーターから批評をいただける、他の出品者の作品から刺激を受けるなど、とても有意義な勉強になりました。さらに、公募展入選は一つの業績として履歴書に書けます。すると、仕事の機会も増えますし、自分の意識も変わってきます。いけ花の世界にいた者にとって芸術の世界はとても新鮮でした。いけ花でもこのような機会が作れないかと思ったのです。
さらに、ネットのブログでは、多数の先生方が自分のいけ花作品の紹介をされていることに気づきました。しかし、生徒作品はなかなか見かけません。「人様に見せるほどのものではない」と先生も生徒も思っているのかもしれません。しかし、私のサイト(www.shoso.com.au)で、生徒の作品を掲載すると私の作品の時以上に訪問者が増えるのです。生徒作品への関心は潜在的にあるように思えました。自作をより多くの人に見せたい、また他の生徒の作品を見たいという希望は、多くの外国人の生徒にとって自然なものであるようです。その機会を提供することが、生徒の学習動機を高めることになるかもしれません。こうして生徒のためのオンライン公募展というアイディアの芽は育っていったのでした。
趣旨
このコンクールの趣旨は次の二点としました。「世界各国でいけ花を学ぶ生徒のため、作品紹介と学習体験を分かち合う場を提供することで、いけ花学習をサポートすること」そして、「芸術としてのいけ花の認知度を高め、世界のより多くの人々にいけ花を伝えること」
私は日本でいけ花の基礎を勉強した後、オーストラリアでも勉強を続けてきました。オーストラリア人の先生、故カーリン・パターソンさん宅で週1回、10名ほどの生徒とともに数年間学びました。とても狭い世界でした。作品発表の機会もほとんどありませんし、限られた他の生徒の作品にしか触れる機会がありません。また、いけ花自体、認知度が低いという状況で勉強を続けていくわけです。日本とは違います。世界中の多くのいけ花学習者が同じような状況で勉強を続けていることでしょう。第一の趣旨は、そうした方々への小さな力になれないか、という思いを反映したものです。特に海外の場合、いけ花の先生には作品発表の機会も、所属流派からのサポートもあることでしょう。しかし、生徒へのサポートとなると流派からの組織的なものなどほとんどないのが実情ではないでしょうか。インターネットのおかげで従来難しかった多くのことが少しの手間と費用で可能になっています。このコンクールの目指すサポートもその一例でしょう。
さらに、この賞がいけ花の認知度を上げる契機になればなお素晴らしいと思います。この第二の趣旨は理想です。IGAの知名度が上がったならば、それを通じていけ花に触れたという方が出てくる可能性があります。実は、これはソーシャル・メディアが発達している現状では大いにありうることです。面白いポストだなと思った方が拡散するという事態は実際に生じているようです。それがいけ花について知識のない方々にも届くということが現実になっています。さらにIGA受賞者が受賞を契機に活動の場をより広げていける可能性もあります。
以下、運営方法などを詳述しています。