華道家 新保逍滄

2017年7月31日

いけ花ギャラリー賞について(2)

いけ花ギャラリー賞をより面白くしようと、ピープルズ・チョイス・アワードを設けました。フェイスブック上でのいいねの数を競う人気投票です。私はあれこれ工夫するのが好きなんですね。 やってみると、これがまた面白く、勉強になります。 基本的に遊びでしょう。 厳密な審査で決まる賞ではありません。 それはそうなんです。が、しかし、、、 まず、プラスの面から。 最大のプラスの面は、ポストが俄然多数の方に拡散するということ。 私たちのポストは、通常、数百から千人くらいに届きます。 せいぜい2千人とまりです。 しかし、この人気投票受付のポストは1万5千人超に届きます。 p.p1...

2017年7月26日

一日一華:超えるということ(2)

フェースブックを見ていると、 著名人の略歴を紹介したビデオがよく出てきますね。 1、若い頃は厳しい境遇にもめげず、努力した。 2、その結果、今では、資産数千億。世界有数の億万長者だ。 3、皆も苦労に負けずに、頑張ろうね。 というポジティブなメッセージ。 私の反応は、 1、なるほど、そうだったのか。大変だったろうな。 2、それで? 3、そう言われてもなあ。 多分、あまり素直でないのでしょうね。 でも、億万長者になりたいと、それほど強く思えるものでしょうか? もちろん、私も裕福ではないですから、お金はあればありがたい。 しかし、遣い切れないほどの資産を手にして、 それだけで人は満たされるものでしょうか? おそらく、例えば日本の引き込もりの方はもちろん、多くの若い人たちも 上のようなメッセージを与えられても、しらけてしまうのではないでしょうか? 「よおし、自分もやるぞ」というような動機付けにはならないだろうと思うのです。 人生の成功って、そんなものなの?その程度?という具合に。 自己実現だとか、好きなことを精一杯やってみようとか 言われても何をやっていいのかわからない。 現実的な仕事も生活の手段としてはやらざるをえないと了解できるものの、 そこにあまり意味を見出せない。 生き甲斐が見つけられない。 自分の命をかけてみよう、 燃やし尽くそうというほどに熱くなれるものが見つからない。 そういう悩みは多いと思います。 これは仕方ないことだと思います。 なぜ仕方ないことなのか? では、どうすればいいのか。 「あること」に気づく必要があるのではないか、と私は思います。 「あること」とは、上記のようなビデオのメッセージ、 努力して、困難を克服して、人間的にも成長して、お金を掴もうよ、というメッセージの出処はどこか、ということ。 それを歴史的に理解すること。 そして、もしかすると、現在は、そうした価値観が終焉を迎えているのではないか、ということにまで考え及ぶ必要があるのでは? つまり、そうした価値観を超える時期にきているのではないか。 もしそうだとすると、もっと新しい価値観はどのようなものか。 その価値観は、もしかすると、上記のようなビデオメッセージにしらけてしまう人々までをも熱くするのではないか。 そんなことまで、考えさせてくれたのが、前回(https://ikebana-shoso.blogspot.com.au/2017/07/blog-post_25.html)紹介した以下の本だったのです。 T.J....

2017年7月25日

一日一華:超えるということ(1)

久しぶりにいい本に出会ったなあ、と、感心したのが、 T.J. Demos (2016) Decolonizing Nature: Contemporary Art and the Politics of Ecology. 著者はUC, Santa Cruzの教授。 こういう上質の本を読むと、頭の中がスッキリ整理される感じがします。 本の内容については、おいおい紹介することもあるでしょう。 今準備している論文では、重要な参考文献になるでしょう。 さらに、読みながら、思ったのは、「超える」ということ。 個...

2017年7月20日

いけ花ギャラリー賞について(1)

2017年度のいけ花ギャラリー賞の準決勝進出の17作品が発表になりました。 ピープルズ・チョイス賞には、どなたも投票できるようになっていますので、ぜひご参加ください。お一人3作品以上を「いいね!」して下さい。締め切りは7月末日です。 https://www.facebook.com/pg/IkebanaGallery/photos/?tab=album&album_id=1232144103581414 いけ花ギャラリー賞については、思うところがいろいろあります。 嬉しいことのは一つは、準決勝に選ばれただけで、喜んでくれる方が多いということ。 世界各地から感謝のメッセージが届いています。 そして、この発表のポストが約1万人にまで拡散するということ。 他のフェースブックでのポストでは、私たちには通常とても達成できない数値です。 おそらく著名なフラワーアーティストででもない限り、なかなか達成できないでしょう。 選ばれた生徒にとっても、もちろん、普段見てもらえない人たちにまで作品を見てもらえ、励ましのコメントをいただけるわけです。 生徒の作品のレベルが上がってきたこともあるでしょう。 いけ花における賞が注目を集めるということもあるでしょう。 この賞の趣旨などについては、国際いけ花学会の学術誌第4号に発表しましたので、機会がありましたら、読んでみて下さい。4号はまだ発売中ですので、全文を掲載するわけにはいきませんが、一部のみ以下に紹介します。4号のお申し込みは以下からどうぞ。 http://www.ikebana-isis.org/p/blog-page_1825.html いけ花ギャラリー賞の目指すもの 新保逍滄  2012年以来、オンラインいけ花コンクール、Ikebana...

2017年7月12日

一日一華:ちょっとさんへ

商業花では様々な制約の中で制作しなければいけません。 時間、予算、クライアントの花についての要望などなど。 大変ですが、それでも楽しいなと思える仕事です。 さて、生け花と芸術の違いを最も意識するのは 私の場合、公募展への応募に際してです。 もちろん、芸術家としての応募です。 生け花アーティストとしての公募展への出品の機会など当地では存在しません。 応募に必要となるものは、 1、作品の趣旨 2、作品の写真 3、作者の履歴書 4、過去作品サンプル だいたい以上が通常求められるものです。 さらに申込手数料と...

2017年7月10日

一日一華:花菱レストランに

昭和時代、生け花ブームが起こりました。 そのキーワードは、「生け花は芸術だ!」だったと思います。 生け花は芸術になったのです。 しかし、伝統的な生け花のあり方と、芸術との「いいとこ取り」だったように思います。 日本で起こる文化変容ではよくあるパターンです。 詳しい説明はいずれ私のエッセーシリーズ、「21世紀的生け花考」で取り上げますが。 その結果、 芸術家なのに華道家の看板で活動する人と 華道家なのに芸術家のふりをする人が出てきたのではないでしょうか。 どちらも普段はまともな生け花作品を作っているの...

2017年7月9日

一日一華:宙に浮く森

宙に浮く森を、というリクエスト。 メルボルンの和食カフェChottoさん、です。 前回のポストで、海外における生け花教師の立場について触れました。 https://ikebana-shoso.blogspot.com.au/2017/07/blog-post.html どうも日本とは違う。 日本のように、生け花教師という立場に対する社会的な認識がない、 ということが大きな違いでしょう。 ということは、 どのような在り方をしてもいいということでもあります。 日本と同じような華道教師を目指してもいいでし...

2017年7月7日

21世紀的いけ花考 第60回

 生け花とは何か、という話から、あちこち話が飛んでいます。「生け花は精神修行」だというのは、共感者も多い有力な生け花の定義。しかし、その中身はなかなか複雑。禅との関連で説明することもできそうですが、よく考えると、過去数回にわたって書いたように、多数の疑問点が出てきます。  さらに、生け花とは何かと考えていくと、日本文化とは何か、ということにまで話が繋がっていくことにも気づいていただけたでしょうか。これは生け花の歴史についても言えることです。生け花の歴史を追っていくと、日本の歴史を学ぶことになります。武士...

2017年7月2日

生け花ギャラリー賞応募締め切り

メルボルンの日本レストラン、花菱にて。 さて、6月末に2017年度のいけ花ギャラリー賞の応募を締め切りました。 まだまだ応募数が少ないなと感じます。 この賞の意義、目標などは、国際いけ花学会の学術誌、いけ花文化研究第4号(2016年度版)に書く機会がありました。 http://www.ikebana-isis.org/p/blog-page_1825.html 私の生徒たちはかなり積極的になってきました。 この賞の意義が少しづつ理解されてきています。 いけ花の狭い世界の中だけで活動していくならば、こ...

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