華道家 新保逍滄

2017年1月11日

一日一華:甥はなぜ医学部に合格できるのか?(2)


メルボルンの花菱レストランに活けた作品。
メルボルンを訪れる日本人著名人の多くの方が利用されるレストランです。
具体的に名前を挙げることはできませんが、
国際的にも知られた方々がいらっしゃいます。

さて、出来損ないと思っていた甥が医学部に合格したという話の続きです。
http://ikebana-shoso.blogspot.com.au/2017/01/blog-post_6.html

ふと、思うのは、私はある一つの現象を目撃しているのではないか、ということ。
それは、社会の中の階級の固定化と言ったらいいでしょうか。
つまり、上流階級は上流階級を受け継ぐ。
逆に、貧困は連鎖するというようなことです。

貧困ゆえに子供に十分な機会を与えられないとします。
あるいは親が自分のことにかかりきりで、子育てに無関心だったりするとします。
すると、子供が脱線する、あるいは不良化するということも起こります。
さらに悪くすると、
当地では、他の都市と同様、
稀ではありますが、高校生くらいから薬物をやり出します。
それで一生をフイにする者もあれば、
私の知っているある青年の場合、
改心したものの10年くらいは泥沼の生活でした。
その後の生活も生活保護を受けながらギリギリのところで
また次の世代を育てるというようなことに。
貧困は再生産されます。

それに対し、私の甥は
子供の頃、クズであったとしても、
優れた学校環境のおかげで、また親と同じエリートコースを歩むことになる、
ということではないか。
その学校環境というのは、
優秀な学友に囲まれて切磋琢磨する環境。
何か問題があれば、すぐにカウンセラー、学級担任ともに親身に対応してくれる。
おそらく従来は親の責任であった事柄を、忙しい親に代わってやってあげる、
その分、高い授業料を請求する、という具合になっているのではないか、
と思うわけです。

日本の著名私立高校の授業料を調べたら年間70万ほどでした。
それが標準なのか、私には不明ですが、300万というのは、どうでしょう?
日本にその程度の名門私立高校があるのでしょうか?
その程度の費用が6年間、あるいは甥の場合、12年間必要になるのです。
(小学校部門はもっと安いはずですが)
経済的に余裕がないと名門私立はなかなか利用できないでしょう。
それでも、入学希望者は多く、対応仕切れないようで、
赤ちゃんの誕生と同時に小学部の入学予約が必要と聞いたこともあります。

日本ではモンスターペアレンツというのがあるらしいですが、
学校側からすると、
「70万程度の金しか払っていないくせに何を言うか」
ということになるのかもしれません。
「子供のしつけや問題のすべてに責任を持たされるほど
お金をいただいていないよ」と。
教職は聖職だ、教育を金で割り切るなという意見もあるでしょうが、
それは相互に責任を自覚し、弁えを持っていることが前提の議論です。

概して、日本は教育にお金をかけなさすぎです。
政府の教育予算も少なすぎます。
日本人は優秀なのですからもっとお金をかければ
将来への素晴らしい投資になるでしょう。

それはともかく、名門私立校という存在が、
オーストラリアの社会を理解する一つの鍵ではないか、
と気になっているのです。

一般に公立校に通うのが全学生の約7割、私立が約3割でしょう。
大学進学率となると一般に公立高校が約3割、私立が約7割。
その私立の中に、大学進学率99%以上を誇る少数の名門私立があるわけです。
(この辺の統計は最新情報調べていません)

もちろん、名門私立を出てもうまくいかないという例もたくさんあります。
数年前、名門私立で薬物を扱った生徒が出て、ニュースになりました。
逆に、公立校出身で州知事になった政治家は、それが大きなセールスポイントでした。

甥についてはもう少し考えてみます。

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