華道家 新保逍滄

2022年12月24日

2022年12月2日

花信:Hanadayori ーリクエスト募集中

 和·メルボルン生け花フェスティバルは、「今、こんな花が見たい!」というリクエストを世界中から公募し、それに日本国内外の華道家が応じるオンライン生け花展、Hanadayori 花信: Ikebana by Requestを2023年4月より公開致します。リクエスト、参加して下さる華道家も同時募集中。日本語案内はこちら...

2022年11月9日

ラーメン屋と生け花と存在論

 日本で美味しいラーメンを食べるというのは、海外に住む私にとって大きな楽しみの一つでした。最近は、メルボルンでも美味しいラーメン屋があちこちにできていますので、それほど大きなことではなくなっていますが。 先頃、東京に短期滞在した時、珍しくまずいラーメンに当たってしまいました。これはおかしいと翌日、また別のラーメン屋に出かけたのですが、こちらもはずれ。2日続けてがっかりすることになり、もうラーメンはいいや、ということで東京を離れました。 自分がラーメン屋だったら、と考えてしまいます。とても競争の激しい業界ですが、私...

2022年10月24日

2022年8月10日

平和のための生け花

 1930年代、第2次世界大戦に向けて日本が戦時体制を整えていった頃、「国家のための茶道」とか「国家のための生け花」、「国家のための各種伝統文化」という主張がなされたようです。茶道あるいは生け花の修行を通じて、精神を鍛え、戦争のもたらす患難に耐え、戦争に勝利しよう、という趣旨だったのでしょう。とすると、「国家のため」という言葉が、「戦争のため」という言葉に取り替えられたり、両者が同一視される可能性があるように思います。「戦争のための生け花」とは、とんでもない!ということになります。特に、戦後私たちを取り...

2022年6月23日

出版のお知らせ:伝統文化研究編(京都芸術大学)

 さらに英語にまつわる話を続けます。先のポストで英語攻略の秘訣を紹介し、英語解読はたやすいなどと書いたばかりです。https://ikebana-shoso.blogspot.com/2022/06/blog-post_21.htmlたいていの英書は大丈夫。オーストラリアの大学院から学位がいただける程度の読解力はあるはずなのです。ところが、これは手強い!と感じた本に最近出くわしました。Pierre Bourdieu, The Rule of Art, Stanford University Press.フランスの社会学者の著作を英訳したものです。一文が果てしなく長く、息切れするほどで、さらに文構造が複雑なのです。社会学の英書で、ここまで難解なものはあまり読んだことがありません(もちろん、相当に限られた読書経験内での話でありますが)。これはこの著者の特徴なのか、フランス人はみんなこんな文で考えているのか(フランス語教師の家内によれば、そういうことはないようです)、翻訳のせいなのか、それはよく分かりませんが、とても苦労しました。翻訳ということでは、例えば、西洋の哲学書など日本語訳だとちんぷんかんぷんなのに、英語だと簡単に理解できるということがよくあります。そうすると、翻訳のせいで実際以上に難しくなっている可能性もあるように思います。この本は、私が準備していた論文にとって重要な参考書で、なんとか読み込む必要がありました。そして、ともかく仕上げた論文が以下の通り出版されました。井上治・森田都紀...

2022年6月21日

思い出すこと:英語の攻略

 中学高校の頃、英語学習にはとてもたくさんの時間を費やしました。会話ではなく、ただひたすら文法翻訳の練習です。高校1年生くらいの時だと思いますが、英語にひとつの法則を見つけました。それは誰かから教わったのでも、参考書で見つけたわけでもないと思います。この法則は今でも役立っているのです。もしかすると、誰でも知っている陳腐なことかもしれませんし、教科書にきちんと書いてあることかもしれません。それでも何人かに話したところ、感心してくださる方もありました。もしかすると面白いことなのかもしれません。私にとっては英語攻略の秘訣でありましたし、この法則に照らして、プロの誤訳を見つけたことも多々あります。また、この法則を無視した日本人の英作文に時々おめにかかります。それは「&...

2022年6月20日

思い出すこと:人生の岐路

 あれが人生の岐路、だったかな、と思うようなことがいくつかあります。いい歳になってくれば、どなたもそんな思いを持たれることでしょうが。私にはどうも2種類の岐路があったように思います。ひとつは、外からやってくる岐路、人生の分かれ道。こういう曲面に対し、私はとてもいい加減だったなあと感じます。特に後悔もしていませんが。例えば、大学進学。日本の国立大学に落ちたので、合格していた私大に進むことにしました。いくつか合格通知が来ていたはずなので、探しました。ところが、早稲田からの通知は見つかったのに、慶應のものが見...

2022年5月31日

2022年5月18日

生け花とは何か?(1)

山根翠堂『花に生きる人たちへ』の抄訳が出版されました。以下から無料でダウンロードできます。生け花のあり方を考えたい方々は多くの示唆をいただけることでしょう。海外における生け花の問題点を考えてきた私にとって、是非とも紹介したい文献でした。2022, International Journal of Ikebana Studies, Vol.9, 76 - 78Free Download - https://doi.org/10.57290/ikebana.9.0_76Publication Date:  2022Publication...

2022年4月29日

新論文が掲載されました

 生花道場に関する研究報告が出版されました。https://www.jstage.jst.go.jp/article/ikebana/9/0/9_19/_article外国人に生け花を教えるのはなぜこうも難しいのだろうと、数年間考え続けてきたことが、ようやく形になったように感じます。A Proposal for Online Ikebana Training: Developing and Evaluating a New Curriculum to Teach Ikebana as Meditation  Shoso...

2022年3月25日

千日挿花行

 千日挿花行を提案し、広報中です。生花を一日一作、千日続けてもらおうというものです。モデルは千日回峰行。その命がけの厳しさの足元にも及ばないでしょうが、生花修得には、多少の厳しさは必要ではないかと思います。「簡単生花」「楽しい生花」「即興生花」。昨今、そんなものばかり目立ちます。商業的に成り立つためには必要なことなのでしょうが。千日挿花行など、見向きもされないかもしれません。それでも提案したいのです。実は、「どうして多くの外国人は生花が修得できないのだろう」と何年も考え続けています。自然観が違うのか。教...

2022年2月9日

生花デモンストレーションの問題点

 YouTubeなどでも生花デモンストレーションを気軽に視聴できるようになり、ありがたいですね。ただ、ひとつ気がかりな点があります。海外で生花を教えている者からすると、私の生徒など、誤解しかねないな、と思う点があるのです。それは、デモでは「制作の過程を見せてもらっている」と、単純に思い込むことです。実は、デモというのは、結果なのです。デモでは見せられない試行錯誤や瞑想の段階を踏まえて、その結果、作られたものです。99%、そうだと思います。例えば、デモでは5分ほどで1作いけ上げる場合があります。しかし、実...

2022年1月13日

生花習得理論

 言語学の中でも特に面白いのは、言語習得理論かもしれません。60年代にチョムスキーが言語習得装置(LAD)なるものを想定して、どうも子供には言語を習得する能力が先天的に備わっているようだねえ、ということで、あれこれ研究が進んできました。さらに、外国語は、それを実際に使う(コミュニーケーションする)必要があるという状況で、最も効果的に身につくんじゃなかろうか、という話にもなってきました。コミュニーケーションしようと「実際に言葉を使うこと」が、習得につながる!言葉は、「学んで」身につけるもの、ではなく、「使...

2022年1月10日

生花道場:年間計画

 生花道場のカリキュラムは24回。1ヶ月に2回開催すると、1年で修了予定です。そこで、なんとか2022年、1月から再開したかったのです。すると年末には2期目の修了者が出ることになるのですから。幸いにも、カリキュラムもほぼ完成、参加者も集まり(満席)、開始できることになりました。いろいろな点で既存の諸問題に挑戦するような面白い内容になっていると思います。その内容をまとめているのですが、英語で6000語を超えてしまいました。国際いけ花学会の学術誌に投稿予定です。うまくいけば出版され、オンラインで無料で読んで...

Shoso Shimbo

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