華道家 新保逍滄

2019年3月28日

メルボルン・フラワー・ショー2019雑感

2019年のメルボルン・フラワー・ショーに出展しました。 Melbourne International Flower and Garden Show 3、4年ぶりの出展です。 南半球最大のフラワーショーとなりますから、メルボルン在住の業界人としては無視できないイベントなのです。 しかし、思うところはいろいろあります。 まず、私が過去数年出展しなかった理由は、 1、PR効果が案外少ない。入場者10万人とありますが、出展、あるいは受賞したとしてもその効果は少ないのです。会場で私の作品を見て、教室に入ってくれたなどという方は過去10年、皆無です。これは花部門についてのことであり、庭部門では事情が違うのかもしれません。 2、他のイベントと重なる。秋のメルボルンは多くの行事が開催される時期です。過去数年、同時期に開催される重要な彫刻展や学会に招待され続けたのです。 3、...

2019年3月20日

2019年3月14日

生け花パフォーマンスとは何か?(5)  

生け花パフォーマンスについての覚書、5回目。ひとまず最後の覚書です。1回から4回までは以下です。 https://ikebana-shoso.blogspot.com/2019/03/blog-post_11.html https://ikebana-shoso.blogspot.com/2019/03/blog-post_12.html https://ikebana-shoso.blogspot.com/2019/03/blog-post_13.html https://ikebana-shoso.blogspot.com/2019/03/blog-post_24.html 私の次のパフォーマンスは、和:メルボルン生け花フェスティバルのイベントの一つとして行う予定です。 タイトル:Wa...

2019年3月13日

生け花パフォーマンスとは何か?(4)

生け花パフォーマンスについての覚書、第4回目。1から3回目は以下です。 https://ikebana-shoso.blogspot.com/2019/03/blog-post_11.html https://ikebana-shoso.blogspot.com/2019/03/blog-post_12.html https://ikebana-shoso.blogspot.com/2019/03/blog-post_13.html 生け花パフォーマンスで見せる焦点は、プロダクト(作品)では...

生け花パフォーマンスとは何か?(3)

生け花パフォーマンスについての覚書の3回目です。 1、2回目は以下です。 https://ikebana-shoso.blogspot.com/2019/03/blog-post_11.html https://ikebana-shoso.blogspot.com/2019/03/blog-post_12.html 私にとって重要な生け花パフォーマンスの経験は、2013年ごろMelbourne Now の一環としてNGV(ビクトリア国立美術館)で行った、ユミ・ウミウマレさんとのコラボです。 私見では、あまりうまくいかなかったパフォーマンスでした。 それは私のせいです。しかし、勉強にはなりました。 ユミさんは、舞踏家で、3.11の津波被害後のパフォーマンスで、自分の子供が津波に飲み込まれるのをただ見つめるだけの母親、を演じ切ってしまうとんでもないアーティストです。観客は皆、切なさに息を飲んで見入ったものです。 NGVでのパフォーマンスでの反省点ですが、まず、自分のコンセプトが観客に伝わる形で表現できなかったこと。 私たちの共通のコンセプトは、再生というパッセージ(過程)でした。生け花は、切り花の段階で命を失っている花を、もう一度蘇らせるもの。花を生かす、生き返らせるから生け花なのだという、生け花の本質を表現したいという大それたものでした。 ユミさんは観客に話しかけたりしつつ、このコンセプトを伝えようとしてくれました。よくやっていましたが、私は基本的に演じるなどということは不可能なのです。 これは、第2の反省点、発見でもありますが、私にできるのは生けるという所作だけなのです。いけるという所作が、観客に面白いものでしょうか?面白くすることはできるでしょうか? その数年後、ユミさんと再びコラボの機会がありました。ユミさんにお願いしたのは、自分は一心不乱に生ける、それしかできないから。あとはその周りで貴方で思い通りに踊り、ストーリーを作ってくれ、ということ。 無責任ですが、私が下手に動くと全く美しくないのです。プロの動きと素人の余剰な動きでは比べようもありません。プロの舞踏家に対抗しうるものが自分にあるとすれば、ひたすら生ける姿だけだろうということです。そして、変化し、出来上がっていく花。花という主人公に対する脇役としての生け手、これをセットにすれば、なんとか見ていただく価値があるのではないかと思っています。 この生け手の所作についての私の認識が、他の生け花パフォーマンスを区分する際の基本になっています。どういうことか?次回に続きます。 補足ですが、近年作った彫刻「鯨の胃袋」が、当地における現代彫刻家の登竜門的なABL賞を受賞しました。プラスチック公害にコメントしたものですが、ユミさんはこの作品と踊りたいなどと言ってくれています。いろいろな条件が出揃えば、次のコラボにつながるかもしれません。 生け花パフォーマンスとは何か?(4) 生け花パフォーマンスとは何か?(5) お知らせ:生け花パフォーマンス予約受付中 Wa:...

2019年3月12日

生け花パフォーマンスとは何か?(2)

生け花パフォーマンスについての覚書の2回目です。1回目は以下です。 https://ikebana-shoso.blogspot.com/2019/03/blog-post_11.html 私の限られた経験、偏った見聞に基づく「ひとつの見解」と、気楽に付き合ってください。 厳密に「生け花パフォーマンス」と呼べるものは、現在、ほとんど存在しないだろうと思います。生け花パフォーマンスという名前で行われている多くのものは「生け花ショー」というべきです。 しかし、パフォーマンスという言葉は多義的に使われていますから、気にすることもないのかもしれません。私自身、厳密に使い分けていませんし。 ただ、指摘しておきたいことは、現代美術の文脈でのパフォーマンスとは、概念芸術の延長線上に試みられたひとつの表現活動であるということ。その定義は幾つもありますが、60年代くらいに多くの芸術家(現代美術の大御所、草間彌生さんを含む)が時代の新しい表現として、受け入れられるかどうかも定かでない状況で、時に命がけで、羞恥心を脱ぎ捨て(と私には思えます。本人の意図は不明ですが。)取り組んだ芸術活動です。 伝統の上にあぐらをかいている生け花の先生が、デモの延長としてショーをやり、それをパフォーマンスと呼ぶのも結構でしょうが、60年代から闘ってきた現代美術家からは、「冗談はやめてくれ」と叱られる可能性はあります。  さて、その生け花パフォーマンス(ショー)について、ですが、私の経験から気づいたこと、特にうまくいくやり方、失敗するやり方などに焦点を当てて、話を続けていきます。 生け花パフォーマンスとは何か?(3) 生け花パフォーマンスとは何か?(4) 生け花パフォーマンスとは何か?(5) お知らせ:生け花パフォーマンス予約受付中 Wa:...

2019年3月11日

生け花パフォーマンスとは何か?(1)

2019年8月31日、9月1日、和・メルボルン生け花フェスティバルを開催します。 日本からも出展者を募集したいとあれこれ取り組んでいます。 できれば著名な華道家を日本から招聘し、パフォーマンスなどやっていただきたいと心当たりの方々にお声がけし、スポンサー探しも試みましたが、なかなか思うようにいきません。時間ばかりが過ぎ去っていきます。 腹をくくりました。自分がやればいいのです。 身の程知らず、と言われそうですが、大いに結構。 金銭的なリスクも自分が負えばいいのです。 たとえ失敗しても、まあ、車の買い替えが2、3年先になる程度でしょう。 音楽は世界最高峰のギター・デュオと契約済み。 https://youtu.be/izLA4-ZcgBc やるのはいいのですが、では、生け花パフォーマンスとは何か? 私が目指すものはどんなものか、 思い当たるところを覚書として書いておこうと思います。 実は、現在、「生け花パフォーマンス」として行われている幾つかのものには 私は必ずしも共感できないでいるのです。 生け花パフォーマンスとは何か?(2) 生け花パフォーマンスとは何か?(3) 生け花パフォーマンスとは何か?(4) 生け花パフォーマンスとは何か?(5) お知らせ:生け花パフォーマンス予約受付中 Wa:...

2019年3月7日

2019年3月4日

Yes Man の終焉

私のような境遇は、一言で言えば自由業と言えるのでしょうか、 かなり自由に自分の仕事の方向、量を変えることができます。 自由業とはフリーランスのことでしょうね? フリーランス・研究者といったあたりが私の立場です。 大学の公開講座を一つ気ままに担当している程度ですから。 過去、2、3年、自分にとって大切だった教訓は、「Yes Manであれ」ということ。 どんな要望にもイエスとお応えする。 その効果は、なかなか大したものでした。  1年に3回も学会で発表し、ユネスコの学術誌への論文出版、スプリンガーの書籍の1章を担当したりと、これでは大学の正規の教師並ではないでしょうか。いや、失礼、大学の皆さんはもっと頑張っていらっしゃいますね。 しかし、今回ばかりはイエスマンをやめました。 最近、音楽家と生け花パフォーマンスをやったのですが、前売りは完売、即、再演のリクエストをいただきました。しかも、次回の私への報酬は3倍とのこと。大成功ですね。 しかし、私は依頼を断りました。 生け花を海外で紹介する上で、パフォーマンスというのは重要なものです。 「生け花にはこんなこともできるのだよ」と伝えていかなければいけません。 それはわかるのです。 なかなか率先してやる人がいないようですので、非力をかえりみず取り組んでいます。 しかし、私が求めているのは、もっと違うものです。 それを示すべきでしょう。 単に断るだけでは、ろくなことは言われないでしょう。傲慢だとか、わがままだとか、それはそれでいいのですが。 では、何がやりたいのか? まず、手を組む音楽家は国際レベルの方であること。 会場はメルボルンの最高の会場であること。 チケットはマーケットで最高価格レベルであること。 芸術性のギリギリのところを追求するコラボであること。 無茶苦茶な要求ですが、まあ、やってみよう、と。 背伸びもいいではないですか。もう若くもないし。 私が選んだ演奏者は、The...

Shoso Shimbo

ページビューの合計

593,206

Copyright © 2025 Shoso Shimbo | Powered by Blogger

Design by Anders Noren | Blogger Theme by NewBloggerThemes.com