華道家 新保逍滄

2018年12月10日

背伸びしすぎる生け花(1)


生け花は日本の伝統芸術のひとつ。
この点では多くの方が賛同してくださるでしょう。

しかし、他の芸術、芸能と比べて背伸びしすぎではないでしょうか?

もしそうだとすると、そこには生け花の特殊性があるように思います。
例えば、音楽、和太鼓とか三味線とか、海外でも人気です。
例えば、陶芸、木工、板画、日本画、能、盆栽などと比べてみてください。

こうした分野で修行をして、先生になったとします。
そうすると師匠とか先生とか言われるようになるでしょうが、
「教授」などという大それたタイトルを使うところはあまりないでしょう。

国内ならともかく海外では少し困ります。
英訳するとプロフェッサーですから。
プロフェッサーと言ったら、通常、大学の先生。
博士号取得は普通、国際的な著作が数十点と言うレベルです。
通常、論文一つ書いたことがない専業主婦が片手間で手にできるタイトルではありません(例外があるかもしれませんが)。
ですから、海外では、花道で「教授」というタイトルをもらっても名刺にプロフェッサーとはなかなか書けない、そこまで傲慢にはなれないという方は多いものです。

(ただ、次のような可能性も考えられます。つまり、教授というタイトルを生け花界が先に使用していて、それを学制が整うにつれ、学校制度の方が拝借したということなのかもしれません。とすれば、生け花界の方こそ迷惑を被っているのかもしれません)

また、「芸術だ、芸術だ」とことさら主張するのも生け花の特徴です。
陶芸家などには「クラフト(工芸)でたくさん。芸術なんて言わんでくれよ」
などと謙虚な方が多いものです。

なぜ生け花がこういうことになったのか。

かつては(戦前あたりでしょうか)料理、生け花、裁縫と、主婦の3つの必修技能のひとつでしかなったのです。
それが、芸術となり、街のお師匠さんが芸術家、あるいは「教授」になり、
ということになったのですね。

どうしてそうなったのか、
どのようにしてそれが可能だったのか、
そして、その弊害は何か(そう、弊害が生じていると思います!)。
生け花の歴史を勉強すると少しずつ分かってきます。

その辺もいずれお話しします。
しかし、あまりはっきり話すと今以上に敵を作りそうな話題なので、
注意しながら、気の向いた時に続きを書きます。

Related Posts:

  • 一日一華:庭の草花で 冬ですので、それほどたくさん花はありませんが、 庭からとった花材で小品を作ってみました。 まもなく生徒向けのいけ花コンクールの応募締切り。 それから私達選考委員の作品選抜作業がなかなか大変です。 http://ikebanaaustralia.blogspot.com.au https://www.facebook.com/IkebanaGallery もう少し応募が増えると もっと面白いのに、と思います。 いけ花にコンクールを持ち… Read More
  • 一日一華:勅使河原宏の新境地 いけ花の先輩の方々、著名な先生方の作品を拝見していると、 ある時点で独自の境地を開かれるのだな、とよく感じます。 その点では多くの方が共通しています。 しかし、作品は二つのタイプに分かれるように思います。 ひとつは、解釈可能な作品。独特の作品でありながら、多くは国際的な現代芸術の文脈で解釈可能な作品。 もうひとつは、解釈不可能な作品。作者の圧力のこもった作品であることは理解出来ますが、なんら意味を生成しない作品。独りよ… Read More
  • 一日一華:フリージア再び 白いガラスの器。 緑から白へのコーディネーション。 … Read More
  • 一日一華:ハラン この花材、どう使っていいか分からないから置いていきます、 何か作ってみせて、 なんていうことで、生徒から宿題をもらうことがあります。 日本ではそんなことはあまりないのでしょうが。 海外ですから、なんでもあります。 でも、それも挑戦。 そこで、ハランとバーゲンディーの百合の取り合わせです。 日本でありえない、というか 華道家にとって、多分あまりないのは、 芸術作品制作の依頼でしょう。 華道家が何をやる人間か、おおよそ世間は分かっています。 … Read More
  • 一日一華:RMIT大学にて RMIT 大学での公開講座、「いけ花から現代芸術へ」にて。 この講座はとても楽しくやっています。 条件はいろいろありますが、やってみたかったことが ぎっしり詰まっている感じなのです。 通常のいけ花クラスでは、流派のテキストに従って指導していますが、 この大学での講座はすべて私のカリキュラム。 自由にやっていいよということなのです。 流派のコースでは充分できないこと、 芸術学部のコースでは充分でないこと、 それらをあれこれ考え、 芸術… Read More

Shoso Shimbo

ページビューの合計

593,679

Copyright © 2025 Shoso Shimbo | Powered by Blogger

Design by Anders Noren | Blogger Theme by NewBloggerThemes.com