華道家 新保逍滄

2018年12月4日

遊びとしての生け花 (1)


生け花への態度について。

生け花は修行だ、道だ。日々鍛錬、精進して、高い境地を目指すもの、という考え方もあると思います。

また、一方、楽しいからやるんだ。花をいけること自体、単純に面白い。余暇にやっているから続く、そういう態度もあるでしょう。

私は前者の考え方に惹かれてきました。

生徒にももっと頑張りなさい、昇級しなさい、教える機会があれば教えなさい、機会を作ってあげるから展覧会に出品しなさい、コンクールがあるから参加しなさい、という具合で生徒を鼓舞してきました。それはそれ。
生徒は増えてきていますから、賛同してくれる生徒が多いのでしょう。

しかし、後者の立場も気になっています。

この立場にはいろいろなパターンがあります。
どの流派にも関わらず自己流でやっていく方。
あるいは流派を離脱して活動する方。
また、流派に一応所属はするけれど、マイペース。
特に昇級を目指すわけでもなく、
師範になることにさほど魅力も感じない。
誰が上手だなどということにもさほど関心はない。
花を通して人生を語ることもない。

でも、花をいけることは楽しい。
自分の人生を精神的に豊かにしてくれる。
だからやめられない、疲れない、息抜きになる、癒しになる。
このような花との関わり方も大切にすべきだろうと思います。

高い境地、深い洞察、それらを体得する喜びだけが生け花の目的ではないでしょう。遊びでやってもいいはずです。ゆる〜く花と関わっていくのもいいと思います。花をいけることには遊びの要素もあるわけですから、その楽しさを大切にしていいはずです。

ゆる〜いアプローチから味のある花、魅力的な活け手も生まれてくる可能性があるように思います。

もしかすると、どちらのアプローチであれ、突き詰めていけば(ここが大切なところでしょうが)、最終的に到達できるところは案外近いのではないか、とも思っています。

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