華道家 新保逍滄

2016年6月30日

論文出版のお知らせ

以下のとおり私の最新論文(英文)が出版されました。 Shimbo, Shoso (2015). Flowers in Contemporary Art: From an Ikebana Perspective, International Journal of Ikebana Studies, 3, 11-19. 和文要旨は以下のとおりです。 現代芸術における花:いけ花との比較 新保逍滄  本稿では現代芸術において花がどのように用いているかに焦点を当て、花を素材とした現...

2016年6月28日

村松萬葉って何?

私の故郷は新潟県の村松町。といっても、今は五泉市と合併し、村松町は無くなりました。過疎化の進む小さな田舎町ですが、ここで30年ほど続いている村松萬葉という文集があります。 初めてその存在を知ったのは「村松マンバになんか書けや」と、今は亡き父親に言われたのが、きっかけ。メルボルンまで持参してくれたのでした。 村松マンバって何者だろうと思ったものです。 上質の装丁の本を手にとって読んでみると、その面白さに驚きました。寄稿者は村松町と関わりのある100人ほどの方々。面識のある方はほとんどありません。しかし、様々な人生に触れることの面白さ。特にご高齢の方々の体験談、戦争体験談などはとても貴重なものに思えました。これは文化遺産だなと感心しましたので、私も毎年寄稿して10年ほどになります。 しかし、どうしてこのような文集が存続できるのか?と思うと、やはり編集に携わっておられる方々の並々ならぬご苦労があるのでしょう。熱意なくしてこれだけの実績は作れません。 機会がありましたら、多くの方に読んでいただきたいと思います。おそらく入手の難しい本だとは思うのですが、公共の図書館などでは閲覧できるでしょう。 そして、もし村松と所縁のある方が私のこの雑文を目にされることがありましたら、寄稿をお勧めします。長さは原稿用紙4枚、投稿料1万円だと思います。連絡先が不明の場合は私宛、メールを下されば、お知らせします。shososhimbo@gmail.com 以下は数年前、村松萬葉に寄稿した拙文です。 精神の大海へ:叔父サンの言あるいは大言壮語 今年の正月に帰省した。ほんの数年会わないうちに甥も姪も皆素晴らしい子供に成長していた。こんな学生が育つなら日本も捨てたものじゃない。いや、たいしたものだ。さて、君達よ、これからの数年がとても大切な、そして難しい時期だ。私が君達の年齢だった頃はどうにもならない代物だったことを思えば、これほど健全な君達だ。心配ないだろうけれど、お節介な叔父にちょっとアドバイスさせてほしい。 まず、テレビはできるだけ見ないこと。日本のテレビの大部分は低脳向け。特に民放。お笑いといってもほとんどがいじめ。女性蔑視、拝金主義、あのような価値観に染まると白痴になる。消費にしか人生の喜びを見つけられないような不幸なことになってしまう。あれほど愚劣な番組を垂れ流している国は世界に日本しかない。一緒に帰省した家内も驚いていた。 次に、いい友達を作ろう。百人に出会っても三人位しか面白いやつはいないもの。つまらない者とつきあうことはない。もし大学に行く機会があればそれもいい。大切な時期に自分の時間がたくさんとれるし、いい友達と出会えることも多い。良き友は人生最高のボーナスだ。 最後に、いい本を読もう。これからの時期、迷うこと、誰にも相談できないことがたくさんでてくる。私は今でも迷っているが。闇の中で自分の手を引いてくれるのはいい本だけ。以下に役に立つかもしれない本をリストしておく。本は読むタイミングが大切。今、もし面白くなければまた別の時に読んだらいい。でも二十歳頃までにはこれらは最低限読破して欲しい。 「フラニーとゾーイー」サリンジャー、「復活」トルストイ、「白痴」ドストエフスキー。これらは本物のラブストーリー。安っぽい恋愛小説もマンガももう読んでいられなくなる。 「シェークスピア全集」。海外に出た時、たとえ英語が下手でもシェークスピアは全部読んだと言うと、それだけで一目置かれることになる。そんなことが役にたつこともきっとある。 「生きるのが楽しくなる十五の習慣」日野原重明。実際にお会いすると先生はとても温かいオーラを発散されている。生き方はこんな方から学びたい。私の生花をとても褒めて下さった。 「竜馬が行く」司馬遼太郎、「日本史集中講義」井沢元彦、「信長」坂口安吾。歴史関連の本は沢山読もう。様々なことに興味が出てくるし、旅行していても楽しみが増える。そして、第二次大戦についてもしっかり考えよう。いろいろな意見があるから混乱するだろうが。君達の曽祖父はニューギニアのビアク島の戦闘で戦死した五千の一人だったことも覚えておこう。戦地からの写真に書き添えた「アジアの黎明のために」という言葉の意味もいつか分かってあげよう。その程度の勉強が自分でできないならば怠慢かつ無礼だ。学校の勉強だけでは駄目、不十分。 あとは解説無し。「道は開ける」カーネギー、「日記」J・グリーン、「人間を見つめて」神谷美恵子、「遥かなノートラダム」森有正、"Man’s...

2016年6月27日

いけ花ギャラリー賞締め切り間近

 私共が主催している国際いけ花コンクール、いけ花ギャラリー賞の2016年度の締め切りまであとわずかとなりました。  毎年、日本からの応募が少ないのが残念。気楽に応募していただけるとありがたいです。もっと面白くなることでしょう。 http://ikebanaaustralia.blogspot.com.au/p/japanese.html  無料で各方面でご活躍の審査員の方々からコメントがいただける、数千人の方々に作品を見ていただける、履歴書の受賞暦に記載できる、ということで、熱心に取り組んでくれる...

2016年6月23日

一日一華:太郎さんと次郎さん

「日本を外から眺めるというのは、どうなんだろう。長所も短所もあるように思うけど」 「客観的な見方ができるのかもしれないけど、まあ、日本に帰るたび、浦島太郎って言われとるよ。」 「実際、海外在住日本人としては、そう思うことも多いしね。日本のことがよくわからない。どうなっているんだろう、と。すると私は浦島次郎というところか」 「最近、日本がおかしな方向に進んでいるような気がして仕方ないんだよねえ」 「太郎さん、政治のことですか?浦島太郎、次郎の政治談議?」 「気になるのは憲法改正の動きだよ、次郎さん。戦争ができ...

2016年6月21日

花展ポスター

Wa: Ikebana Exhibition by Shoso Shimbo 今年10月、私の教室が参加する合同展のポスターができました。 今回のデザインは私が担当するよう依頼されました。 合同展ですから特定の流派のスタイルが出ていない写真の方がよかろう、 ということで自作の部分写真を使いました。 初夏のイメージで、最小限の色、 色調も強すぎないものを。 あとはシンプルに、シンプルにと心がけてデザインしました。 なかなか満足の出来です。 しかし、他の方々からはあれこれ言われました。 「和の説明を入れてほしい」 「日時、会場をもっと大きなフォントで」 「日時、会場が明瞭に記されていない」という批判には驚きましたが。日時、会場しか書いていないのですから。 「別のポスターを作ってもい...

2016年6月10日

迎え花

Mondopiero への新作。Design Institute of Australia の特別イベントが開催されることになり、 ピエロ氏より依頼あり。 「この花綺麗だね」なんていう感想は欲しくなんだ。 相手はトップクラスのデザイナー、ボーグの編集者だ。 「このコンポジション、にくいね」とか、そういう感想が欲しいんだよ。 それならちょっと遊ばせてもらいましょう、と制作。 ピエロ氏、大いに満足してくれました...

2016年6月8日

一日一華

Facebook もよく使っています。 フレンドのほとんどは面識のない方々。 同じ関心、いけ花でゆるーくつながっているような感じです。 https://www.facebook.com/ikebanaaustralia/ それはもちろんいいのですが、 時々、メッセージで 「この言葉の意味はなんだ?」 「この日本語訳してくれ」 などというリクエストがあるのです。 せいぜい5分、10分で返答できることではあります。 それくらいしてあげよう、とは思います。 しかし、様々な思いが巡ります。 まず、過去に何度...

2016年6月5日

21世紀的いけ花考 47

 いけ花と芸術についてあれこれ書いてきました。そろそろまとめです。私にとって両者が問題になるのは、歴史上、少なくとも2つの時点において。ひとつは1920年代、自由花が登場してから、戦後、自由花を重視した草月流等の爆発的な発展まで。西洋芸術がいけ花の変容に強力に関わっています。いけ花は日本の伝統芸術という見方が一般的でしょうが、実は西洋芸術の影響なくして今日のいけ花はありえません。    ただ、芸術という言葉はとても皮相的な理解で用いられていたように思います。広告のコピーのような扱いだったのではないでしょうか。ただ、それが一要因となって、一人で始まった流派が二、三十年で会員数、数十万の大組織に発展したわけですから、特異な社会現象でもあります。文化変容の問題として、あるいは社会学の問題としてどなたかにきちんと研究してほしい問題です。私が理事を務める国際いけ花学会の学術誌、International...

2016年6月4日

一日一華

残り物を寄せ集めて、 捨てる前にもう一度作品にしてみました。 今日も生け花の生徒から興味深い話を聞かせてもらいました。 話をしているうちに、生徒同士で ある時、ふと心が触れ合う瞬間というものがあるようです。 出会いといったり、 エンカウンターと言ったり、 いろいろです。 涙を流しながら話していましたが、 それは全くジメジメしたものではなく、 ともかく、生け花の時間が生徒にとって 難しい現実から逃れ、 一時の憩いとなっているのだということでした。 ...

Shoso Shimbo

ページビューの合計

593,195

Copyright © 2025 Shoso Shimbo | Powered by Blogger

Design by Anders Noren | Blogger Theme by NewBloggerThemes.com