華道家 新保逍滄

2017年2月8日

一日一華:いけ花上達のコツ(1)


メルボルンの花菱レストランにて。

いけ花上達のコツについて思うところがありましたので
覚え書きとして。

いけ花上達のコツとか、秘訣などというのは、相当な実績ある先生でないと書いたり、話したりできない内容だと思います。

私のような修行中の者がおこがましい。
私の生け花指導歴はたかだか20年ほどでしょうか。
傲慢と思われても仕方ないでしょう。
それは承知の上で。

まず、この生徒は伸びないだろうな、そのうち諦めるだろうな、
という、少々がっかりな生徒の特徴から話しましょう。

私のクラスでは、まず、作品を仕上げてもらいます。
そこで、個別アドバイス。
外国人相手ですから、具体的でないと納得してくれません。
さらに、指示内容の理由まで説明しないといけません。
「弱い」「重い」「うるさい」
なんていう抽象的なアドバイスでは生徒は満足しません。
「いいですね」と言っても、それだけでは苦情が出ます。

外国人相手の先生は日本人だけを教えている先生より
おそらく苦労していると思います。
その分、教師として力がつくのではないかと思います。
(もちろん日本人を教える際の独特の苦労もあることでしょうが。)

「この作品の真ん中に太い線が走っているね。これは強すぎると思う。生け花というのは中心を強調しすぎると、流動性が無くなる。もっと不安定で、生き生きした感じを出した方が面白いと思うから、この線、やり直そうよ」
というような具合になります。

場合によっては、何度もやり直しを要求します。
そこで諦めてしまうか、食いついてくるか。
要はその違いです。
上達できるか否かの分岐点。

「もうこれ以上、だめです」なんていうのはまだいい方です。
自分の限界を感じているのです。大切なことです。

そうではなくて、もう投げ出してしまう感じ。
これが困るのです。
今日は疲れているし、
自分で満足しているからアドバイスなどもう不要。

あるいは、先生はこう言うが、自作の意図はこれこれである。
よって、今日はこれでいいのだ、とか。
自己の作品を正当化。
おそらく日本人にはあまり見受けられない態度だろうと思うのですが。

一言で言えば、真剣さに欠ける。
と、日本人の私には思えます。

もちろん、外国人生徒の全てがそうだということではないです。
ほとんどの生徒はとても熱心です。
ごく少数の生徒ですが、私の期待する真剣さに欠けるということ。
でも、いい人達です。
ありがたいなとよく思います。私のクラスの雰囲気はとてもいいです。
もしかするとこうしたちょっとイージーな人たちがいい雰囲気を作ってくれているのかもしれません。そう思うと大切な生徒ですね。

この点、日本人の生徒は違います。

(私にも数人日本人の生徒がようやくついてきてくれるようになりました。もっと若い頃から教えていましたが、以前は日本人には相手にされませんでした。実力も、風格もない。当然でしょう。)

日本人が生け花が上達するのは当然です。
真面目なのです。

外国人が不真面目というのではないですが、
学ぶということに対する態度の違い。
(繰り返しますが、すべての外国人がそうだというのではないのです。真剣さが必要な習い事だと、理解している人も多数います。)

この違いを理解し、忍耐を身につけ、
妥協したり、甘んじたりする傾向を乗り越えられないと、
いけ花の本当のところは分からないでしょう。
本当には上達しないでしょう。

とすると、生け花が人間修養ということの意味も、私なりに分かってきます。

生け花を学ぶことが人格を高めるということは、
よく言われますが、それは正確な表現ではないのかもしれないですね。
では、どう言い換えたらいいのか。
それはまた、次回としましょう。
そのうち続きを書きます。

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