華道家 新保逍滄

2020年4月9日

外国人に生け花を教える難しさ(4)


海外で生け花を教える苦労について、あれこれ書いてきました。
https://ikebana-shoso.blogspot.com/2018/09/blog-post_3.html
https://ikebana-shoso.blogspot.com/2018/11/blog-post.html
https://ikebana-shoso.blogspot.com/2019/11/blog-post.html

今回はもう一つの重要なこと。あまりはっきり語りたくない方もあるでしょうが、お金のこと。お金に関して私が難しいなと思ったこと、反省したことなどを少しだけ紹介します。

おそらくお金を儲けようと、それが最大の動機で生け花指導をするという人はあまりないでしょう。第一、それほど儲かりません。他にもっと楽に儲かる方法があるでしょうね。

主要な指導動機の一つは、生徒と親しい関係、協力的な関係を楽しみたいということだと思うのです。私が、現在、自分の人生を豊かにし、支えてくれている女性三人を挙げるとすれば、母親、家内、仕事上のパートナー、となるでしょうが、四人目以降には私の生け花の生徒さんらが続きます。そうした良好な関係を長く築いていくために気をつけるべき点はたくさんあります。やはり、品性下劣、他人の悪口ばかり言っているというような先生からは誰も習いたくないでしょう。

そして、そうした先生の態度や生き様とともに、もう一つ重要なのは、お金のこと。
注意しないと生徒との関係を傷つけることにもなりかねません。
私自身、苦い思いをしつつ学んだことがいくつもあります。
生徒の方で配慮してくれ、などという態度は通用しません。
日本とは違います。

特に、指導料の設定には苦労してきました。
何度も改定しています。
どれほど苦労して詳細に決めても、どこかに抜け穴があったり、
思いもしない解釈をされたり、
生徒へのやむを得ない場合の「特例のサービス」(お情けというか配慮)のつもりが、生徒からは「権利」のような解釈をされたり。
言わなくてもわかってもらえる、などということはありえません。

生徒から誤解が出る、2通りの解釈が生じるなどというのは100%先生の責任と思うべきです。ですから私は生徒を非難はできない、自分の責任と覚悟はしていますが、難しいと思うことが多いのです。
生徒のためにと思って、サービスを与えたり、寛容になればなるほど、結果的に、期待していたのとは反対の、落胆するようなことになることが多いように思います。お金を頂く者がそんなことを言っても、愚痴にしかならないでしょうが。
海外ですから、お金に対しては厳しい方が多いのは当然。
日本と同じような態度ではいけないでしょう。

また、日本の芸道の世界では当然とされているような先生に対する敬意や礼儀は、残念ながら海外で教える私たちは享受できない、と思ったほうがいいようです。
「何を偉ぶっているんだ?正規の学位があるわけじゃない、たかが花のインストラクターじゃないか」と、実際、そこまでは言わないでしょうが、その程度の認識と覚悟することも必要でしょう。

ともかく、お勧めしたいのは、料金体系はできるだけシンプルであること。
特例やら割引やら、そうしたことは好意であっても、おそらく誤解の元。
提示した、決まった額を淡々とビジネスライクに頂く。それだけの方がいいと思います。

最近経験した問題点を一つ紹介しましょう。
少し長くなるかもしれないので、また、次の機会に続けます。

Shoso Shimbo

ページビューの合計

Copyright © Shoso Shimbo | Powered by Blogger

Design by Anders Noren | Blogger Theme by NewBloggerThemes.com