華道家 新保逍滄

2018年9月3日

外国人に生け花を教える難しさ



以前、「生け花上達のコツ」ということで書き出したところ、外国人に生け花を教える難しさ、という話に変わっていったのでした。今回はその話の続きです。

https://ikebana-shoso.blogspot.com.au/2017/02/blog-post_8.html
https://ikebana-shoso.blogspot.com/2017/08/blog-post_9.html
https://ikebana-shoso.blogspot.com/2017/08/blog-post_13.html

草月流の場合、5冊教科書があり、1、2冊目は基本型、以後、自由花ということになります。おそらく、日本人にはそれでいいのでしょう。私のクラスでも日本人の場合、あまり問題はありません。

しかし、外国人の場合、このカリキュラムでは5人に1人くらいしか目的のレベルに到達できません。もちろん、これは私のクラスでのことであり、私の指導力不足という限界があるのは承知していますが。

自由花に入っていくと、多くの生徒がおかしな作品を作り出します。しかも、その生徒独特のクセのようなものが毎回表れます。貧弱だったり、色使いが混乱していたり。単に力強いだけだったり。結局、基本が身についていないのでしょう。私が生徒に与えるコメントは、以下のようなものが多くなります。

「綺麗な作品だね。でも、綺麗さを作品の目標にしてはいけない。生け花の原則に則って制作しましょう(これは綺麗な作品だけど、生け花と言えないよ)」

「生け花は数学だ。日本の美学は数学だ。君の作品のどこに数学があるんだ」

「弱い!君は瞑想していない。花と君の間に大きな距離があるんだ。もっと花と話しなさい (だんだんイライラしてきます)」

「花でお遊びして何になる。なんのために生け花やっているんだ!」とまでは、直接は言いません。だんだんコメントが厳しくなっていくのです。

私の生徒作品はフェースブックに紹介していますので、よければご覧ください。
https://www.facebook.com/IkebanaGallery/

そこで対策です。2つほど考えて実践しています。
効果はまだわかりませんので、詳しくは紹介できません。

ただ、ひとつは基本型の徹底復習。
これは不評です。やりたがりません。

しかし、完璧な基本型を作れれば、かなり効果があるのではないかと思っています。
そのような基本型を持てることが流派の最小限の存立条件でしょう。

ともかく、だまし、だまし上級者(実力での上級ではなく、カリキュラム上の上級)にも基本型の練習をさせています。
結果がどうなるか、いずれ報告できるでしょう。

補記:もしかすると、外国人(ことに西洋人)への生け花指導の難しさには、自然観の違いが根本にあるのかもしれません。日本人の神道的な自然観 (自然を客体視しない)への共感が生け花の修得には必要になってくるのではないか、これは大きな、そして、かなり魅力的な仮説です。



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