生け花上達のコツは、瞬発力と持久力でしょう。
それらについては、いずれもっと詳しく書くことがあるでしょう。
その時は、このタイトル、「上達のコツ」にもっとふさわしい内容になるはずです。
しかし、今は、少々別のことを考えています。
第1回目、2回目は以下のとおりですが、第2回目に書いた問題について、さらにあれこれ考えているのです。
https://ikebana-shoso.blogspot.com.au/2017/02/blog-post_8.html
https://ikebana-shoso.blogspot.com.au/2017/08/blog-post_9.html
つまり、生け花を外国人に効果的に教えるにはどうしたらいいのか?
この問題にきちんと対処するならば、
いけ花指導を国際的に展開する上でも、とても役立つはずです。
日本には、千以上の生け花流派があるようです。
海外展開を目指したいという流派も多いはずです。
おそらくそれはとてもたやすいことでしょう。
海外には習いたいという人が多いからです。
さらに、その需要に答える指導方法を確立している流派がないからです。
外国人にきちんと教えられる生け花教師を養成しようなどと真面目に考えている流派はないと私には思えます。間違っているかもしれませんが。
「英語ができればいいのでは?」
実際、それだけでは不十分です。
前回私が指摘した、教えにくい外国人生徒の典型的なタイプに
対応できる指導力についてきちんと考えている流派があるでしょうか?
つまり、作品に独特のクセがあり、
自分の作品の未熟さを謙虚に認めることがなく、
言葉で、訂正すべき点の説明を求めてくる。
海外で教えている方ならおそらく出会ったことがあるタイプではないでしょうか?
「こういうタイプにはいけ花は向かない」と切り捨てたくなりますが、
こういう方は、程度の差はありますが、とても多いのですね。
生け花流派が、その流派の家元やトップクラスの師範を海外に派遣することはよくあります。
デモをやったり、海外会員を指導をしたり。
それはそれで重要でしょうが、海外の生徒数を伸ばすことが目的であるならば、
上記のような教えにくい外国人生徒を上手に教える方法を指導できる講師を派遣して、
海外の教師に指導実習すべきです。
それが本当に流派の将来のためになる投資です。
生け花教師の作家としてのレベルアップも大切ですが、指導者としてのレベルアップがより重要なのです。
さらに、上級師範のテストというのがありますが、特定流派の場合ですが、私の知る限り、とてもお粗末なものです。
実習と筆記試験。実習はともかく、筆記試験の内容は、家元の言葉を自分なりに解釈しなさいというようなもの。
生け花、芸術についての小論文。
芸術大学の大学院レベルで学んだ人には容易すぎますし、
その家元の言葉について容易に歴史的な限界を指摘できるでしょう。
私の「21世紀的いけ花考」を読んでおけば、容易にパスできるレベル。
むしろ上級レベルの師範の昇級試験には次のようなテストはどうでしょう?
ある外国人生徒が作った作品を提示します。
そして、この作品を講評しなさい、と求めます。
さらに、手直ししなさい。
その結果、どう良くなったか言語で説明しなさい、とやるのです。
実は、これこそ、海外で生け花を教えている私たちが日々直面している問題なのです。
しかし、また、手直しし、なぜそれが必要なのかを言葉で説明できたとしても、
おそらく、達成できるのは、目的の90%くらいまでだろうと思います。
つまり、バランス、コントラスト、リズム、パターン、ハーモニーなど様々なデザイン原理の共通の用語を用いて説明しても、生け花の9割程度しか説明できないのではないかと思います。
最後の1割は、言語でどうしても言いあわらせないだろうと思います。
それこそ、生け花がデザインを超える側面なのです。
今回書いた問題はとても大きいものですので、いつかまた、解説します。