華道家 新保逍滄

2017年6月9日

鯨の巨大便(2)


鯨の巨大便(1)で、捕鯨は国益を損なうと書きました。
http://ikebana-shoso.blogspot.com.au/2017/06/blog-post_8.html
それは政治的な見解です。

より重要なのは、科学的な見解。
捕鯨はエコロジーを破壊します。
地球の存続可能性こそ緊急の問題です。

しかし、政治的な問題として話したほうが、日本は反捕鯨へ動くのではないか、
そこで政治的な問題として書いているのです。
そこをもう少し詳しく説明します。


「調査捕鯨などという蛮行を続ける国もある。その調査は学問的に稚拙で、国際的な学術誌に採用されたことがない。科学的根拠のないデータを示し、絶滅寸前の野生動物を捕り続け、世界の嫌われ者になっている。メディアも真相を隠している。海外のテレビでは、その国の漁船が血を流しつつ逃れようとする鯨の親子を容赦なく殺し、切り裂く場面を何度も流しているのに。地球はあえいでいる」

以前、私がある文集に寄稿した文章の一部。そのテレビのナレーションでは、次のような説明がつきます。

日本の捕鯨船が鯨の親子を見つける。
日本の漁師はまず、子供を狙う。動きが鈍いから。
子供の体に銛を次々に打ち込む。
赤い血が吹き出す。子供は怯え、悶え苦しむ。
母親は泣き叫ぶが、血みどろの自分の子供のそばを離れない。
それこそ残虐で卑劣な日本人漁師の思う壺。
普段ならすぐにでも逃げ出す母親の目玉をめがけて銛を打ち込む。
目玉が破裂する。
さらに銛を打ち込む。打ち込む。
鯨の嗚咽がいつまでも続く。
血みどろの海面からやがて二つの死体が捕鯨船に引き上げられていく。

https://youtu.be/mFjVbLPCwQ4
https://youtu.be/Dw90fQJl6xI
https://youtu.be/D8e1kb4D4nY

こういう画像が世界中で放映されているのです。
日本への反感、憎しみが生まれるのは当然でしょう。

確かに日本人は面白いアニメを作った、いい車を作った、
しかし、所詮、鯨の親子を容赦なく殺せるレベルの低い野蛮な民族だ。

日本が、近隣の国の核の脅威にさらされている。
領土侵犯され、侵略の危機に瀕している。

そこで、国際社会が日本を助けようと思うか?
日本のために立ち上がろう、
血を流してでも。
そう諸外国が思うでしょうか?

日本は現状では自国の安全、防衛さえ外国に頼らざるをえない国です。

「日本が侵略されても、知ったことか。
鯨にとっては
地球の環境保全のためには
日本などなくなったほうがいいかもしれない」
そういう人は出てきます。

鯨はただの哺乳類の一つではないのです。
極めて政治的な象徴的な存在です。

それはおかしい。理性的ではない。
他の動物とどこが違うのか、と怒ってみても、
諸外国の人々の認識を変えることはできません。

捕鯨が国益を損なうとはそういうことです。

たかが、「鯨ごときで!」と思われるかもしれません。
しかし、日本の安倍首相が豪州の首相に会った時、まず、捕鯨の話が出るのです。
鯨の問題、なんとかしてくれんかい?
わかったわかった、なんていう話があるんでしょう。
おそらく日本のメディアには報道されないのでしょうが。

それから、もっと実際的な話に移るのです。つまり、
経済的な相互依存関係を維持しましょうね(日本の経済は諸外国との取引なしに成立しません)とか、
有事の際は、理解と協力を頼むよ(日本の近隣には、けしからぬ動きをする軍事国家があります。しかし、日本は自分で自国を防衛できないのですから)とか。
そういう話になるのだろうと思います。

捕鯨の問題は、それくらい重要なのです。
捕鯨をなんとかすると言っておきながら、何もしないじゃないか、ということになれば、
日本は信頼を失うことになり、国益の損失にまで至るだろうと思います。

また、捕鯨をやるぞ!と宣言したものの、予想外の国際的な批判を浴びて、即撤回した国がありますね。数年前ですが、覚えていますか?韓国です。
捕鯨を行うことが、国際関係を維持していく上で、極めて不利だと即、判断したのです。
世界を巻き込んであれこれ工作して、自国の利益を追求するのが得意な国は、国際的な政治感覚が優れています。賢いのです。

それに対して、日本ときたら。

一部の悪徳資本家の世論操作にのせられて、学者は買収され、政府も一緒になって、誰にも理解されない詭弁を弄し、捕鯨を続ける浅はかさ。傲慢。醜態。

世界で日本だけなのです。そんなことをしているのは。

次は別の観点から捕鯨の問題を考えてみます。

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