華道家 新保逍滄

2017年6月8日

鯨の巨大便(1)


日本の捕鯨がまた始まると報じられました。
世界がどのようにそれを見ているか、
日本ではほとんど報じられないようです。

捕鯨論争については、以前にもこのブログで書いたことがあります。
http://ikebana-shoso.blogspot.com.au/2016/07/blog-post_8.html

私の知識が十分でないことを承知しつつも、
日本には、この論争での勝ち目はない、と思っています。

捕鯨反対が国是となっているオーストラリアでも捕鯨推進派はあります。
日本人ですが。
恥ずかしいほど貧弱な議論を繰り広げていた人があります。

捕鯨推進派の主な意見は上述のブログに述べた通り。
どの主張も、国際社会を納得させるのに十分なものではありません。
調査だ、文化だ、環境保全だ、など、
いずれも妥当性がありません。
論拠が弱すぎて、詭弁にしか聞こえません。

他にも、鯨を殺すことで、鯨が食用にしている小魚が増える。
よって人間の食資源が確保されるのだ、という議論もよく聞きます。
確かに、もっともらしく聞こえます。

これは日本政府も用いた論法だったのでしょうか?
「日本政府のバカな見解」と、笑っている学者がありました。
なぜバカなのか?

鯨を殺すことで、小魚が増えたか?
実際には減ったのです。

どういうことか?

鯨が殺されると、鯨の糞が減る。
鯨の巨大便は、まるでキノコ雲のごとく海中に噴射されるらしいのです。
あっぱれな光景だろうと想像します。

その糞はプランクトンなどの微生物のエサになるのです。
鯨が減ることで、糞が減る、すると、プランクトンが減る、
すると、お分かりですね。
プランクトンをエサにしている小魚が減るのです。

生態系はこのように循環しています。
微妙なバランスを保ちながら。

鯨が減れば小魚が増えるのだ、などという議論を振り回すのは、
自らの低脳をひけらかしているようなもの。

それだけで信憑性は地に落ちます。
議論できる、まっとうな相手ではない、と。

野生動物を殺すというのは蛮行、
これが世界の常識。
正当性はありません。
しかも、絶滅危惧種を殺すことのダメージは大きすぎます。

捕鯨もいずれは衰退します。
存続可能な産業ではありません。
政府は業界関係者を支援をしつつも、
他の業種への移行をサポートするべきです。

もちろん、捕鯨をやっているのは近代的な設備を備えた捕鯨船。大企業です。
日本政府への圧力、マスコミ操作、世論操作もお手の物の大金持ちの悪徳業者ですから、
そこまで配慮が必要かは分かりませんが。

技術が発達したことで廃れた産業はたくさんありますね。
蒸気機関車、現像フィルムとか、
捕鯨も似たようなもの。
(新技術の登場というより、環境の変化によるのでしょうが)

環境問題が人類共通の最重要課題となっている今日、
捕鯨を続けることの不利益(国家としての不利益、資本家は儲かったとしても)。
蒙昧。恥。
世界からバカもの扱いされ、
憎悪され続ける日本はあまりに情けない。

「日本は私の大好きな国だけれど、日本の捕鯨だけは憎む」
などというコメントもソシャル・メディアでは多いのです。

しかしながら、国内では日本の捕鯨を批判する意見がなかなか報じられない。
マスコミや政府に無批判、
無関心な人が多い現状。

世界のほぼすべての国が良心から(さらに政治的な配慮から)
手を出さない捕鯨を
金のために唯一続ける日本の醜態。

国際社会の批判を無視して、隣国を侵略、虐殺し、領土を拡大し、
自らの領海外に軍事基地を作ってしまうヤクザな軍国主義国家がある。

それと同レベルで語られる日本の捕鯨。

一部のヤクザな資本家の懐を潤すために、国が動けない。
それは、一部の軍需産業を潤すために
戦争への動きが止められなかった
戦前の日本の状況さえ連想させます。

損なう国益が大き過ぎます。

鯨の巨大便(5
鯨の巨大便(4
鯨の巨大便(3
鯨の巨大便(2
鯨の巨大便(1

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