華道家 新保逍滄

2018年7月16日

2018年度生け花ギャラリー賞準決勝


恒例の生け花ギャラリー賞、準決勝進出作品が発表となりました。ぜひご覧ください。
https://ikebanaaustralia.blogspot.com/2018/07/semi-finalists-for-ikebana-gallery.html
Facebookは以下になります。人気投票も受け付けていますので、よければご参加ください。
https://www.facebook.com/IkebanaGallery/

この賞創設の意図についてはあちこちで書いています。
https://ikebana-shoso.blogspot.com/2018/05/blog-post_28.html

最大の動機は、生け花をキャリアとして取り組んでいきたいという方を助けたいということ。
特に、海外では、生け花で幾らかの収入を得るということ自体、なかなか難しい。
海外で生け花をキャリアにできるという人は極めて少ないのです。
幸運にも、私はその一人です。
とはいえ、日本とは状況が違います。
私の活動範囲はおそらく日本の一般の生け花教師よりはるかに広いでしょう。
私の状況については、別の機会に書くことがあるかもしれません。

ともかく、

私は、海外で生け花で収入を得る人がもっと増えてほしいと思っています。
教室を運営するのが一般的でしょうが、そのような形でいいですから、生け花で稼いでほしいと思っています。

なぜか?

それが生け花を人生の一部として、継続させるきっかけになるからです。
上達し続けるためにも、実際に指導していくということが大切だと思っています。
生徒にもそのように説得しています。
商業的な機会を積極的につかめ、と促しています。
そんなことを言っているのは私くらいでしょうが。
それには理由があります。

私は海外で生け花が上手だなと関心した人々に何人か会っています。
しかし、同時に、数年経つと、生け花をやめていたり、
ちっとも進歩していなかったり、
そういう人が多いのです。

それに対し、以前それほど上手とも思えなかった方が、
数年でとても進歩していることもあります。
そういう方は決まって、指導などの活動をされています。

生け花の上達には時間がかかります。
その長い修行を継続させることはどうしたら可能か?
最もてっとり早いのは生け花が幾ばくかの収入源になってくれること。

そこまで考えて、サポート策を考えている生け花教師は、おそらく私一人かなと思います。私への共感者、賛同者が全くないですから(私の側近教師たちを除いて)。私を批判する人はありますが。
「俺はあなたの10年後を心配して、言っているんだ」
なんてアドバイスする先生はあまりいないのでしょうね。

本当は各流派が検討すべき問題です。

しかし、そこまで取り組んでいる流派は一つもありません。
海外会員を収入源としか見ていないのではないかと思うこともよくあります。
海外会員を増やしたいと意図した活動は散見します。
しかし、海外の事情を踏まえて、自立をサポートするまではいっていません。
趣味として生け花をやる人を開拓しているだけです。

おそらく、海外に最大の生け花学習者を抱えているのは草月流でしょう。
大手の草月流がこの問題について動いてくれたら素晴らしいでしょうね。

ともかく、

私の意図は、「生け花ギャラリー賞受賞」と履歴書に書ける生け花学習者、教師を増やしたいということ。

それが生徒を集めるのに役立ったり、
コンクールに出品する助けになったり、
制作依頼を得る助けになるのではないか、
それらが最大の効果でしょう。

さらに、受賞者は自信をもてるはずですし、
生け花にもっと精進しようという方が多く出てくるのではないか。
そういうところも目指しています。

 そして、もうひとつ。

今後、取り組みたいのは、生け花教師の指導力をどう伸ばすか、という問題。
技術はある、しかし、指導力がないという教師は問題です。

技術については、各流派、いろいろな取り組みがあります。
しかし、指導力については、どうでしょう?

「素晴らしい作品を作る。しかし、教え方が下手すぎ」という先生より、
「多少、技術は劣る。しかし、教え方がうまい」という先生の方が
実際には、生徒数も増え、生け花文化拡散には効果的なのです。

しかし、「海外での指導」となると言葉の問題、文化の問題などいろいろあって、一筋縄ではいきません。

今いろいろ考えているところです。

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