華道家 新保逍滄

2015年4月25日

いけ花文化研究第2号発刊


国際いけ花学会の学術誌「いけ花文化研究」第2号が発刊されました。

学会誌の購入方法などは以下をご参照下さい。

私の寄稿文(英文)の要旨は以下の通りです。

いけ花に関する英文文献
 新保逍滄
モナシュ大学日本研究センター

 本稿では明治期から現在までに出版されたいけ花に関する主要な英語文献を紹介した。該当文献を暫定的に主要文献、指導書、作品集、学術論文の4種に分類した。本稿は学術的ないけ花研究の参考になることを趣旨とするため、作品集ならびに新聞、雑誌の記事などは原則的に除外した。
 主要文献としては、欧米のジャポニズムのさなか出版されたコンドル(1891)、禅ブームの文脈に位置づけられるヘリゲル(1958)、日本の高度経済成長期に出版されたスティーレ(1962)など4点を取り上げた。スティーレに所収された大井ミノブの論文は華道史に関する数少ない英語文献のひとつである。
 指導書はいけ花入門書を含め比較的多く出版されている。優れた近著に佐藤昌三(2008)がある。
 少数ながら美学、社会学、カルチャル・スタディーズなど様々な領域でいけ花に関する学術研究が行われている。特に注目したいのはいけ花の心理的効果を調べたカナダの研究報告、ワタース他(2013)である。長期間のいけ花の修練が実践者に心理的な充足感をもたらすことを実証し、今後の研究課題についても重要な示唆がなされている。 
 本稿は優れたいけ花関連文献が英語圏で出版されていること、それらの多くは国際的な社会文化的文脈の中でとらえられるべきであること、また、更なるいけ花研究が必要であることを示した。

Shoso Shimbo

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