華道家 新保逍滄

2020年7月27日

孤軍奮闘 ー 作品集出版に向けて


まもなく作品集を自費出版します。
と言っても安価なeBOOK 主体なので、どれほど広く行き渡るのか、怪しいところです(ハードカバーの実物版も注文できるのですが)。
「Shoso 2020」
として、前回2016年版の続きということになります。
過去4年間の活動をまとめたものですが、私にしては忙しい日々を過ごしたものです。
時に自作を振り返ってもみるのもいいかもしれません。都市封鎖継続中のメルボルンですから、いい機会です。

反省点は多々ありますが、いくつか気付いた点があります。

まず、一つは自分の作品のスタイルができてきたかな、ということ。
それがいいことなのかどうかはわかりませんが、ともかく、全体的にクリーンな傾向が強まっているように思います。以前と比べて、より単純で、清浄な方向へ向かっているように思います。

なぜこうなったのか、と考えているのですが、私のアート系の関心の出発点には車のデザインがあったせいかもしれません。子供の頃、車のデザインを無数に描いていたものです。車を見る目というのは、かなり発達していたように思います。説明が難しいのですが、例えば、ある車の新型車が発表されたとします。それを横から見て、テールライトの位置が以前のデザインより数センチ下がっただけで、すぐに全体からして「低すぎる」と気付いたりします。そういう目というか、感覚は生け花でも生きていると最近気付きました。おそらく似たような経験は多くの方がお持ちでしょう。車でないにしろ。子供の頃の経験には不思議なものがありますね。

もう一つ、4年間の活動をリストにしてみて、ふと、思い至ったことがあります。生け花の世界から現代芸術の、殊にその環境芸術に殴り込みをかけるという無謀な取り組みをやっているのは、おそらく世界で私一人ではないか?と。自分ではそこにやむにやまれぬものを感じ、非力ながら取り組んできたのですが、「こんなこと、他の華道家の誰もやっていないではないか」と今更ながら気付き、少し愉快な気持ちになりました。だから誰にも分かってもらえないし、相手にもされないのか、と妙に納得。好きなことをやっているのだから、共感者が得られないのは当たり前、と覚悟するしかないのでしょう。

作品集には以下の活動歴を掲載予定です。孤軍奮闘のひとつの成果として、ユネスコの学術誌に環境芸術についての論文が掲載されました。次の段階への小さなステップができたようにも感じています。

「Shoso 2020」まもなく、仕上がります。ご覧いただければ幸いです。

Shoso's Activities  2016 - 2020


Group Exhibitions (Curated)  展覧会

2019 Wa ∙ Ikebana Exhibition, Abbotsford Convent (Since 2015)

2019 Sogetsu Victoria Group Exhibition, Hawthorn Town Hall

2018 Yering Station Sculpture Exhibition

2017 Yering Station Sculpture Exhibition


Commissioned Works / Special Displays (selected) 主な制作依頼等

2020 New Year’s display, Koko restaurant, Crown Hotel (Since 2009) 

2020 Sculpture commission, Le Pine, Kew East, Melbourne

2019 Ikebana performance, Suntory Roku Launch, Crown Hotel 

2019 Ikebana display, RMIT Open Day

2019 Ikebana performance with the Gregorian Brothers, Melbourne Recital Centre

2019 Ikebana performance: The way of flower, Melbourne Recital Centre

2018 Biennale of Australian Art (BOAA), Ballarat

2018 Ikebana performance, International Academic Forum, Kobe, Japan

2018 Lorne Sculpture

2016 Ikebana Display, the Snow Travel Expo, Japan Foundation  

2016 Wye River Project, Lorne Sculpture 


Awards 受賞

2019 Shop Window Competition, Melbourne International Flower and Garden Show  (2nd Place)

2017 The Arnold Bloch Leiber Prize 17th Annual Yarra Valley Arts / Yering Station Contemporary Sculpture Exhibition & Awards


Publication 出版

2020 Environmental art as public art, UNESCO Observatory, Multi-Disciplinary Research in the Arts, 6, 1.9. 

2018 Nature in ikebana: Beyond sustainability (いけ花における自然:存続可能性を超えて). International Journal of Ikebana Studies (IJIS), 6, pp. 55- 60.  

2017 Ikebana in environmental art (環境芸術におけるいけ花の可能性), International Journal of Ikebana Studies (IJIS), 5, pp. 109-113.

2016 Environmental art and ikebana, International Journal of Ikebana Studies (IJIS), 4, pp. 27-38. 


Conference Papers  国際学術会議                                                                                              

2020  Nature in Ikebana: The freestyle ikebana movement in the 1920’s and 1930’s, and its effect on Avant-garde Ikebana after the war. The 11th Asian Conference on Arts & Humanities, The International  Academic Forum (virtual presentation). 

2018 Creativity & Education: Environmental art as a vehicle of message. Central de Studii European, Facultatea de Drept, Universitatea Alexandru Ioan Cuza, Co-funded by the Erasmus + Programme of the European Union, 17 April, Iasi, Romania.     

2018 Environmental art as public art. Creating Utopia Conference, Sponsored by Deakin University, Lorne Sculpture Biennale, March 22 - 25, Qdos Arts, Lorne.  

2018 Japanese aesthetics and environmental art. The Asian Conference on Arts and Humanities, The International  Academic Forum. March 30 - April 1, Kobe, Japan.    

2017 Transition of environmental art: In search of the strategies for sustainability. The Asian Conference on Arts and Humanities, The International Academic Forum. March 30 - April 2, Kobe, Japan.


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