華道家 新保逍滄

2020年3月24日

自由花における詩性とは何か?(1)


日々、生け花を教える中で出会う疑問を出発点に、じっくり考えていくと、
思いもしなかったところまで考えが及ぶということがよくあります。
例えば以下のような具合。
https://ikebana-shoso.blogspot.com/2019/12/blog-post.html

毎度のことながら、「外国人に生け花を教えるのは難しい」と思います。
特に、自由花。
基本形を終えて、自由花に移ると、時に、めちゃくちゃになる人が出てきます。
単に強いだけ!
単に個性的なだけ!
単に綺麗なだけ!

何かが欠けているのです。
原因はなんだろう?対策はどうしたらいいのだろう?

まず出発点は、自由花とは何か、ということでしょう。
自由花が提唱されてそろそろ100年です。
その本質の定義も有効な指導方法も確立されていい頃だと思うのですが、
まだそうなっていないように思います。

この辺の議論は置いておきます。また別の機会に考えます。

私の生徒作品を見て、「何かが欠けている!」と感じることが多いわけですが、ここから話を始めます。
欠けている「何か」とは何でしょう?

一言で言えば、詩性です。

ここで生け花とは何かという話を踏まえないといけないでしょうが、それも置いておきます。私は生け花は芸術だという意見には同意できません。問題は「生け花は芸術だ」という方の「芸術」の定義が私の芸術の定義とは異なる点。私は村上隆の芸術論が面白いと思います。彼は「闘争」していますが、私は生け花の世界で不毛な「闘争」をするつもりはありません。

実は、生け花はクラフトだとしたほうが説明しやすいと思っています。
生け花とは一般的には視覚的形態上のデザインを研ぎ澄ませて、詩性をつかもうとするもの、ではないか。
とすると、それはクラフトです。
特殊なクラフトですが、芸術とは言えません。
芸術のようにコンテクストが問題になるのは限られた特殊な場合のみですから。

さて、詩性です。
それは何か?

詩性のない生け花作品とは、すなわち生命のない作品。
生け花とは言えないでしょう。
山根翠堂は死に花と言いましたが、多分、その通りです。

では、どうしたら詩性を手にできるのか?
どうしたら生徒はそれを体現できる力をつけてくれるのか?

ここで自分自身、なかなか掴めないでいるもの、つまり詩性を
教えられるのか、という困難な問題にぶつかってしまいます。
続きは、また、いつか考えることにします。

かすかにひらめいているのは、生け花における詩性を、
環境美学と環境倫理の接点上に定義づけられたら面白いだろうな、ということです。

自由花における詩性とは何か?
なかなか大きな問題です。

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