現代芸術といけ花の違いについてあれこれ書いてきました。しかし、どうも木を見て森を見ずではないか、という感じがします。両者の相違点はたくさんあって、いずれも重要ではありますが、根本的な違いをがっちり押さえておかないことには、どうも腑に落ちないということになりかねません。
「どちらも『芸術』。根本は同じさ」というのは浅薄。きちんと考えれば違いばかりがごろごろ出てきます。では、最も肝心な違いとは何でしょう?A とBとの違いが分かるというのはとても大切です。違いが分かると、A が、そしてBが一層よく分かるようになるからです。豪州に住んでいると日本との様々な違いに気づきますね。その結果、日本が一層よく分かるようになります。違いが分かると理解が深まるのです。A もBも同じだよ、なんていうのは、A もBも分かっていないということです。
今月はレズリー・キーホー・ギャラリーズでの小林秀明展に小路光男の花器を使っていけたもの。オープニングには小路さんもいらっしゃったそうですが、気に入っていただけたか気になります。一杯やりましょうという約束を果たせないでいるのが残念。
主花は木瓜。様々な使い方ができ、楽しい花材です。我が家では白、ピンク、赤、と3株育てています。この作品に限らず言えることですが、数十本の花材一つ一つを長さ、位置を計算しながら活けていく過程は瞑想そのもの。集中した無我の時間で、一度味わうと病みつきになります。多くの方に経験していただきたいものです。まずは10月8、9日の私たちの花展にお越しいただければ幸いです。